2012 Fiscal Year Research-status Report
河口干潟に供給された落葉の分解過程と底生動物による利用状況の解明
Project/Area Number |
23770025
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 晶子 広島大学, 生物圏科学研究科, 助教 (10535470)
|
Keywords | 河口干潟 / 炭素循環 / 落葉分解 / 底生動物 |
Research Abstract |
調査地のリターパッチに出現する大型底生動物を対象に安定同位体比分析による食性解析を行った結果、特定の大型底生動物が、河川を介して供給された落葉を直接的に餌資源としている可能性は低く、リターパッチは餌資源としてよりも、生育場所としての重要性が高いことが示唆された。 実験では、調査地の約1km上流で採取したヨシの落葉を入れたメッシュバッグに、大型底生動物が侵入可能な穴を複数あけたものを作成した。メッシュバッグを約2週間干潟に設置後回収し、メッシュバッグ内に侵入した大型底生動物を採取し、炭素・窒素安定同位体比分析を行った。加えてヨシの落葉、現地堆積物についても安定同位体比分析を行った。リターや現地堆積物のδ13C値は-30~-25‰程度であった一方、リターバッグ内に侵入した大型底生動物は-20~-15‰と、リター等からは離れたδ13C値を示した。このことから、野外では底生微細藻類等の他の餌資源が豊富にある場合、調査対象とした大型底生動物が落葉を直接的に接触している可能性は低いと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度行った摂食実験に加えて、当該年度は、炭素・窒素安定同位体比分析による食性解析を行い、大型底生動物による落葉の利用状況の検討を進めた。また次年度以降に計画している調査等の予備検討も進めており、本研究課題を当初の計画に沿っておおむね順調に遂行できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
河口干潟におけるリターパッチの滞留期間等を検討するために、野外調査を行い、落葉の分解過程を定量的に把握する。また、リターパッチの河口干潟における役割を明らかにするために、大型底生動物の生育場所としての重要性を野外調査により検討していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、落葉の分解過程を把握するための野外調査を行う。そのため、研究費は野外調査のための消耗品購入費、また研究成果発表のための旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)