2014 Fiscal Year Annual Research Report
河口干潟に供給された落葉の分解過程と底生動物による利用状況の解明
Project/Area Number |
23770025
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 晶子 広島大学, 生物圏科学研究科, 助教 (10535470)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 河口干潟 / 炭素循環 / 落葉分解 / 底生動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の野外実験では、干潟に供給されたヨシ落葉の重量が、約3ヶ月後には、初期重量の2割にまで減少することを明らかにした。落葉の分解過程における重量減少は、有機物の細粒化と無機化による。細粒化されて生態系内に残存するものと、無機化されて二酸化炭素として大気中に還元されるものとでは、それぞれ生態系や物質循環における役割が異なる。そこで、本年度は、落葉の分解過程における重量減少に対する、無機化の寄与割合を明らかにすることを目的とした。 調査地の約1km上流で採取したヨシの落葉を1mmのメッシュバッグに入れて、河口干潟に設置し、14、50、154日後に回収した。それぞれのサンプルの無機化速度の指標として、暗条件下、人工海水中での時間当たりの酸素消費速度をDOメーターにより測定した。測定は20℃条件下で行ったうえ、無機化速度の温度依存性を把握するために、10℃、30℃条件下でも行った。無機化速度とその温度依存性をもとにモデル式を作成し、データロガーにより記録した調査地における堆積物温度の変動を考慮して、現地での無機化起因の重量減少をシミュレーションにより推定した。 測定の結果、ヨシ落葉の無機化速度はおよそ90~120 μg CO2-C/g/hで、時間経過とともに低下する等の傾向は認められなかった。また、無機化速度の温度依存性を表すQ10値はおよそ2であった。さらにモデル式を用いてヨシ落葉の無機化量を推定した結果、前年野外調査において実測した29、75、104、134日時点の重量減少に占める無機化の割合はおよそ6~8割と推定された。以上のことから、河口干潟に供給された落葉は、粗粒有機物としては現地に長期滞留せず、減少した重量の6割以上が無機化されており、比較的速やかに分解が進むことが示唆された。
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Research Products
(1 results)