2013 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄同化系酵素や輸送体が構成する分子間相互作用ネットワークの解明
Project/Area Number |
23770036
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 尚子 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10415333)
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Keywords | 植物 / 硫黄 / 代謝 / 輸送 / 相互作用 |
Research Abstract |
植物が生産する有機硫黄化合物の中には、人類の健康の役に立つ生理活性(抗微生物活性、抗ガン作用、抗酸化作用、抗血小板凝集作用、コレステロール低下作用など)を示す化合物や、植物自身の重金属耐性に大きな役割を果たす化合物が存在する。これら有用物質の生合成と制御のメカニズムの解明により、有用物質生産系の人為的構築や付加価値を持つ植物の作出が期待できる。本年度は、含硫アミノ酸であるシステインの生合成において連続反応を担う二酵素であるセリンアセチル転移酵素とシステイン合成酵素を高発現した形質転換タバコが、システインやグルタチオン等の硫黄化合物を高蓄積することを明らかにした。この形質転換植物は、有害金属であるカドミウムの存在下でも生育することが可能であり、蓄積した硫黄化合物による金属陽イオンキレート能の向上により植物体内のカドミウムが解毒されていることが示唆された(Nakamura et al., 印刷中)。一方、ネギ属植物は薬理学的に重要な天然物であるS-アルケニルシステインスルホキシドを生合成することで知られている。昨年度までに単離した、S-アルケニルシステインスルホキシドの生合成において二つの連続反応を各々触媒すると考えられる二種の酵素(S-酸化酵素、脱グルタミル化酵素)についてin vitro機能解析を行い、酵素機能を明らかにした。現在、得られた結果について論文を執筆中である。
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