2012 Fiscal Year Annual Research Report
時を測る蛋白質KaiCに備わった分子内フィードバックの解明
Project/Area Number |
23770039
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高井 直樹 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 助教 (80580018)
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Keywords | KaiC / ATPase / 生物時計 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
シアノバクテリアの概日時計はKaiA, B, Cという3つのタンパク質により成り立つ.特にKaiCはATPaseであり相同性の高い二つのドメイン(C1,C2)から成り立つ.さらに,その活性は概日リズムの周期を規定し,概日時計の特性である温度補償性を備えている.申請者は周期や温度補償性の変異型組み換えKaiCタンパク質を精製し,KaiCが内包する時間情報がいかにして規定されているのか解明しようと試みた.しかし,KaiCのATPase活性は15ATP/dayというように著しく低いため,従来の方法では加水分解反応直後のATPase活性の変動をモニターできない.そこで,申請者はRIを用いたATPase活性の検出法を開発することにより,分単位でのATPase活性のモニターを可能とした.この手法により,KaiCのATPase活性は氷温から高温に移すと温度に応じて一過的に増大するが,固有のATPase活性(周期)に従って抑制されることがわかった.この結果はKaiCのATPase活性は温度に非依存なのではなく,温度に応じて一過的に増大するが,そこで生まれたエネルギーが自身の復元力に応じてATPase活性を抑制し,一定の緊張状態で平衡を保つような分子内フィードバック機構が機能していることを示す. さらに,1) C1のみではKaiC全長の80%程度のATPase活性を生み出せるが,フィードバック反応は見られず,温度補償性を失っていること,2) C1のATP結合部位を欠失してもフィードバック反応が見られること,3) 温度補償性異常型やC2ドメインのATP結合部位欠失型ではフィードバック反応が失われたことから,KaiCのATPase活性はC1がほとんどを担っているが,温度変化に供されてもC2がC1の活性をフィードバック制御することによって一定の活性に維持していることが明らかとなった(投稿準備中).
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Research Products
(2 results)