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2012 Fiscal Year Research-status Report

SINE法を用いたアカガエル類の系統関係の解明と大陸移動に関わる分岐年代の再推定

Research Project

Project/Area Number 23770088
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

倉林 敦  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00327701)

Keywords国際情報交換 ドイツ / 転移因子 / SINE / LINE / アカガエル類 / マダガスカルガエル科 / 系統解析
Research Abstract

本年度は、マダガスカルガエル科のBoophis goudotii (イロメガエルの1種)および、アカガエル類に近縁なアフリカガエル類に属するアメフクラガエルについて、ゲノムシークエンスを行い、前者から約47Mbp、後者から約53Mbpの塩基配列を得た。ゲノムシークエンスからSINE配列を解析するために4つのPerlスクリプトを開発し、さらに、RepeatMaskerソフトウェアを用い、SINE配列を探索した。その結果、両種ともに、昨年ニホンアカガエルとセアカアデガエルで発見したtRNA由来の SINE2-XTと、BBSINEという2種の SINE様配列が存在することが分かった。ただし、BBSINEについては、配列中にRNAポリメラーゼIIIのRNA合成終了配列が多数確認された事から、真のSINEではないことが示唆された。一方で、ゲノムシークエンスからSINE2-XTのパートナーであるLINE(L2-LINE)も見いだされた事から、これは真のSINEであることが示された。さらに、SINE2-XTは、アカガエル類内で新たに2つのサブタイプが生じており、1つは、配列中にリピート配列を持つタイプと、もう一方は、RNA-PolymeraseIII認識部位が、一般のSINE2-XTとは異なる配列に置換されたものであった。ゲノムシークエンスの結果とPCR・サブクローニングの結果を考慮すると、前者のタイプは、マダガスカルガエル科のみに見られ、後者はニホンアカガエル、あるいはアカガエル属のみに見られる独特なSINEであることが示唆され、それぞれ各々のグループの系統マーカーとして有用である事が示唆された。さらに、PCRの結果、SINE2-XTは、アカガエル類だけでなく、カエル全般に広く分布している事を明らかにしたが、ゲノム内の存在比はカエルグループ間で大きく異なる事が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでにカエル類ではXenopus のみからSINEが報告されていたが、本年度の研究結果より、SINE2グループが非常に多くのカエル類に分布している事が明らかとなった。このことは、多様なカエル分類群においてSINEに基づく系統解析が実施可能である事を示している。さらに、SINEを指標に系統解析を実施する上では、ターゲットとなるSINEサブファミリーの選定が重要であるが、上述のように、マダガスカルガエル科のカエル、およびRana属に特有なSINEサブタイプを発見することで、これらのグループのSINE法による系統関係の再検討が比較的容易に実施できることを示すことができた。また、Perlスクリプトの作成により、ゲノムシークエンスからのSINE解析がより容易に行えるようになった。さらに、ゲノムシークエンスからSINE2-XTのパートナーとなるLINEも明らかになり、本研究の目的の一つであるミトコンドリアにおける転移システムの存在の検証が一部実施可能な状況となった。また、ゲノムシークエンス情報から、カエル以外の動物から、あるLINEの水平伝播が生じているというきわめて興味深い結果が得られた。
これらの成果を得たことで、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究から得られた情報に基づき、系統解析に用いるSINE座位を単離し、系統解析を実施する予定である。特に、研究目的のマダガスカルガエル科3亜科間の系統関係の解明を実施するため、Boophinae・Laliostominae・Mantelinaeの3亜科の代表種についてコロニーハイブリダイゼーション、あるいは454シークエンサー解析によるSINE座位の単離を行い、それらの座位についてプライマーを作製し、PCRによりSINE座位の挿入の有無を確認する。また、今年度に引き続き、マダガスカルガエルを用いた研究は、ブラウシュバイク工科大学・M. Vences博士との共同研究として実施する。
さらに、サザンハイブリダイゼーション(ドットブロット)により、SINE2-XTと2つのサブタイプの存在および、ゲノム内頻度を多様なカエル類について実施し、SINE2-XTの系統マーカーとしての利用可能分類群を明確にする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度の研究費は、(1)次世代シークエンサー解析、(2)PCR試薬、(3)クローニング試薬、(4)SINE分布系統探索、および、SINE座位単離を目的とした、コロニーハイブリダイゼーション試薬、(5)論文英語校閲および出版費として使用する予定である。なお、設備備品費の購入は予定しない。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] From Antarctica or Asia? New colonization scenario for Australian-New Guinean narrow mouth toads suggested from the findings on a mysterious genus Gastrophrynoides2012

    • Author(s)
      Atsushi Kurabayashi, Masafumi Matsui, Daicus M Belabut, Hoi-Sen Yong, Norhayati Ahmad, Ahmad Sudin, Mitsuru Kuramoto, Amir Hamidy, and Masayuki Sumida
    • Organizer
      7th World Congress of Herpetology
    • Place of Presentation
      バンクーバー カナダ
    • Year and Date
      20120809-20120813

URL: 

Published: 2014-07-24  

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