2013 Fiscal Year Annual Research Report
SINE法を用いたアカガエル類の系統関係の解明と大陸移動に関わる分岐年代の再推定
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23770088
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
倉林 敦 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00327701)
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Keywords | 転移因子 / SINE / アカガエル類 / マダガスカルガエル類 / アフリカガエル類 / 生物系統地理 / 系統解析 / 分岐年代 |
Research Abstract |
昨年度までの結果から、カエル亜目(Neobatrachia)の中でも、マダガスカルガエル科は、SINE2-1ホモログのコピー数が多く、SINE法による系統解析のターゲットにふさわしいことが明らかになった。また、マダガスカルガエル科内の亜科間(3亜科)や属間の系統関係は、従来の分子系統学的手法では解決されていない点が多い。そこで本年度は、マダガスカルガエル科のより多くの属からSINE座位を単離することを目的とし、(Laliostominae亜科:Laliostoma, Mantellinae亜科:Mantidactylus, Guibemantis, Spinomantis,亜科所属不明属:Tsingymantis)について454次世代シークエンサー解析を行い、多くのSINE座位を同定した。現在、各SINE座位についてのプライマー作製を自作プログラムによって自動化し、本グループのSINE系統解析の実施を準備中である。 さらに、SINE2-1ホモログの両生類での系統的分布をドットブロットハイブリダイゼーション法によって解析した結果、通常のSINE2-1ホモログは、両生類3亜目(無尾類・有尾類・無足類)の全てに存在することが明らかとなり、本SINEが、3億5千万年ほど前の現生両生類の共通祖先のゲノムに既に存在していたことが示唆された。通常1種のSINEの寿命はそれほど長くないため(数千万年程度が一般的)、SINE2-1ホモログが両生類の進化の過程でずっとゲノムに残り続けたことは、分子進化や転移因子研究上、非常に有用な知見に成ると考えられる。 さらに、本年度の研究によって、昨年までに一部のマダガスカルガエルとアカガエルのみで見つかっていたリピートを含むSINE2-1とLINE認識配列変異SINE2-1は、それぞれ広義アカガエル科とアカガエル属の一部の系統で生じたことが示唆された。
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Research Products
(5 results)