2012 Fiscal Year Annual Research Report
亜種間コンソミック系統をモデルとした生殖隔離の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
23770097
|
Research Institution | 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 |
Principal Investigator |
木曽 彩子(岡彩子) 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ, 新領域融合研究センター, 融合プロジェクト特任研究員 (80425834)
|
Keywords | 生殖隔離 / 種分化 / X染色体 / コンソミック系統 / QTL解析 / マウス |
Research Abstract |
本研究は、異なる亜種由来のマウス二系統間で染色体を置換した亜種間染色体置換系統(コンソミック系統)を用いて、これらの亜種間に成立している生殖隔離の遺伝的メカニズムを解明することを目的としている。X染色体全体を置換したB6-ChrXMSM系統や、X染色体遠位側約半分を置換したB6-XTMSM系統は、雄特異的に生殖能力欠失や生殖能力低下の表現型を示し、生殖隔離現象が再現される。このことから、X染色体とその他の染色体との相互作用が亜種間多型によって適切に起こらないことが、これら亜種間の生殖隔離の原因であると考えられた。これまでのQTL解析では、B6-XTMSM系統において、1番、2番、12番染色体の特定の領域とX染色体上のテロメア近傍の領域が、遺伝的に不適合であることが示された。昨年度は、さらにB6-XTMSM系統の雌と各コンソミック系統の雄とを交配してF1雑種を作製し、B6-XTMSM系統の表現型である精巣重量の低下などに回復がみられるかどうかを確認することで、X染色体テロメア近傍の原因遺伝子領域と不適合である常染色体の探索を行った。その結果、これまで検証を行った11系統のコンソミック系統のうち、1番、2番、12番染色体を含む7系統のF1個体で精巣重量の回復がみられ、X染色体を含む遺伝子相関が非常に複雑であることが示された。一方、マイクロアレイを用いた遺伝子発現実験では、発現プロファイルの回復がみられたのは、1番染色体コンソミック系統のF1個体のみであり、この染色体が特に重要であることが示された。さらに今回の発現実験で、B6-XTMSM系統のMSM系統由来の遠位側半分に存在する遺伝子の多くが発現異常を起こしていることが示され、B6-XTMSM系統の表現型の原因が、単一遺伝子によるものではなく、複数遺伝子の発現異常を総合したものであることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)