2011 Fiscal Year Research-status Report
小胞体関連分解における糖タンパク質の新しい分解経路の解明
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23770162
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
細見 昭 独立行政法人理化学研究所, 糖鎖代謝学研究チーム, 特別研究員 (60525864)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | タンパク質分解 / 小胞体 / 小胞体関連分解 |
Research Abstract |
本研究は、真核細胞の基本的なタンパク質分解機構である小胞体関連分解(ER-associated degradation; ERAD)をより理解するために、酵母において、ERADで機能すると考えられる未知のエンドペプチダーゼを同定し、その機能を調べることを目的にしている。平成23年度に行ったエンドペプチダーゼの同定に関する成果を以下に示す。ERADで分解されるタンパク質を可溶性型と膜貫通型に分けて研究を行っている。その理由はそれぞれの切断を行うエンドペプチダーゼが異なる可能性があるからである。まず、可溶性型タンパク質の切断について述べる。可溶性型モデルタンパク質としてCPY*(液胞内局在カルボキシペプチダーゼYの変異体)とRTA(植物毒素タンパク質リシンA鎖変異体)を用いている。より切断が確認しやすいRTAを解析に用いた。酵母のゲノムデータベースを検索したところ非必須のエンドペプチダーゼ遺伝子が43個存在した。この43個の遺伝子破壊株でRTAの切断を確認したところ、少なくとも1個がRTAの分解に関わっていることが分かった。現在、この遺伝子の解析を行っている。続いて膜貫通型タンパク質を切断するエンドペプチダーゼについて述べる。膜貫通型モデルタンパク質RTL(RTA-transmembrane-Leu2)を発現させて切断を確認したところ、全43遺伝子破壊株で切断が起こっていた。この方法では同定できないことが分かったので、エンドペプチダーゼの特性から遺伝子同定を試みるべく、RTLの切断部位を調べたところ、膜貫通領域内で切断されることが分かった。タンパク質を膜貫通領域内で切断する酵素としてロンボイド型プロテアーゼが知られている。そこで、酵母のロンボイド型プロテアーゼを調べたところ、5個の遺伝子が存在することが分かった。現在、この5遺伝子の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はエンドペプチダーゼ遺伝子の同定を目標にしていた。酵母のERADにおいて、可溶性型のタンパク質を切断するエンドペプチダーゼ遺伝子の候補が1個、膜貫通型のタンパク質を切断するエンドペプチダーゼの候補が5個見つかった。
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Strategy for Future Research Activity |
可溶性型モデルタンパク質を切断するエンドペプチダーゼ候補遺伝子の解析を行う。この1遺伝子が実際に切断を行っているのか、小胞体関連分解(ERAD)に重要なのかを調べる。膜貫通型モデルタンパク質を切断するエンドペプチダーゼ遺伝子の候補5個について解析を行う。全5遺伝子の多重破壊株を作製して5個の内いくつが切断に関わるのかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品(ガラス器具、各種チューブ類)、生化学試薬(一般の化学試薬、抗体などの生化学試薬、酵母培養試薬)に1,800,000円。国内旅費(研究成果の発表のための学会参加費用)に100,000円。
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