2012 Fiscal Year Research-status Report
ALS関連タンパク質凝集体によるRNAメタボリズム変調と神経細胞死機構解析
Project/Area Number |
23770215
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 朗 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 助教 (10580152)
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Keywords | タンパク質凝集体 / 神経変性疾患 / RNA結合タンパク質 / 神経細胞死 / 蛍光分光イメージング |
Research Abstract |
筋委縮性側索硬化症 (Amyotrophic lateral sclerosis; ALS)の原因として,近年,TDP43 (TAR-DNA/RNA binding protein 43-kDa)タンパク質が注目されている.本研究では,TDP43タンパク質が細胞内のRNAを介して神経細胞毒性を発揮するメカニズムを明らかにする.具体的には,TDP43タンパク質またはそのC末断片が凝集し,他の機能性タンパク質や機能性RNAを巻き込むことで神経細胞死を引き起こす可能性と,TDP43の変異体が細胞内RNAメタボリズムに対し変化をもたらし,神経細胞死を引き起こす可能性について検証することで,ALSにおける神経細胞死の機構を詳細に解明することが目的である. 当該年度は,TDP43の凝集性領域であるTDP25を蛍光タンパク質融合型で発現させた培養神経細胞の毒性評価を行った.GFP-TDP25は,核と細胞質の両方に局在した.レーザー顕微鏡を用いたFLIP解析を行い,GFP-TDP25の核-細胞質間移行速度を測ったところ,タンデム二量体型のGFPとほぼ同程度の移行速度であることが分かった.このことから,GFP-TDP25の核局在は主に単純拡散により核膜孔を介して移行していることが分かった.次に,GFP-TDP25を発現する培養神経細胞において細胞死を解析したところ,全長のTDP43よりも細胞死を引き起こしやすいことが分かった.次に,核移行シグナルを付加したGFP-NLS-TDP25を発現させると,細胞死が低下した.このことから,TDP25の凝集性を伴う細胞死は,細胞質に局在することが原因であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りにTDP43の凝集形成過程を解析することができた.さらに,驚くべきことに,タンパク質の凝集体形成を伴う細胞死が,核局在でき抑制されることを見出した.このことは,細胞質における何らかの相互作用が細胞死を直接的に引き起こす可能性があるということであり,オルガネラに対する毒性など次の計画に移行するための大きな結果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の解析により明らかとなったTDP25が細胞質で毒性を発揮する原因について,なかでも,凝集過程における内在性分子との相互作用あるいは,オルガネラ恒常性の破たんという観点から,神経細胞死を引き起こす分子的なメカニズムについてより詳細に解析する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品としては,培養細胞にTDP25タンパク質を発現させるためのトランスフェクション試薬購入,相互作用を同定するための,免疫沈降抗体ならびに担体.その他,研究協力者との研究打ち合わせのために旅費として使用する.
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Research Products
(5 results)