2012 Fiscal Year Annual Research Report
形が制御するYapを介した細胞増殖制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
23770236
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
和田 健一 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 協力研究員 (20525919)
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Keywords | Hippoシグナル経路 / Yap / 細胞の形 / F-actin / 細胞増殖の接触阻止 / マイクロドメイン |
Research Abstract |
本研究は、細胞接触非依存的な「細胞の形」の変化による細胞増殖制御の分子機構をYapの細胞内局在制御との関連に着目して明らかにすることを目指している。前年度までに、マイクロドメインによる形の制御を含んだ一連の実験により、ストレスファイバーはHpo経路を抑制的にする働きがあり、細胞の形がストレスファイバーを介してHpo経路に入力することでYapの局在を制御していることを明らかにした。 今年度は、細胞の形およびストレスファイバーのHpo経路への関与をより詳細に調べる試みを行った。Hpo経路の上流のコンポーネントであるMerのdominant negative formを発現させると、丸い状態の細胞においてもYapが核局在を維持していることが観察された。この結果は、細胞の形によるYapの局在制御がHpo経路を介したものであるという先の解釈を支持する。また、JasplakinolideによってF-actinを安定化したところ、予想に反してYapの核局在が消失した。この阻害剤はF-actinに強く結合することでその構造を安定化させることを考えると、ストレスファイバーの機能に干渉している可能性が高い。そのため、ストレスファイバーの何らかの機能的な状態がHpo経路の抑制に重要であることが予想された。今後、ストレスファイバーがHpo経路を抑制する機構に着目することによって、より詳細な「細胞の形」の変化による細胞増殖制御の分子機構を明らかにしていくことが期待される。
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