2011 Fiscal Year Research-status Report
指の発生におけるPFRの細胞群の動的な作用機序の解明
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23770244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 孝幸 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40451629)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ニワトリ / 肢芽 / 指 / PFR / 形態形成 / シグナル伝達 / 発生 / 軟骨 |
Research Abstract |
本研究では脊椎動物における指の個性の決定メカニズムを明らかにする為に、特に発光顕微鏡を用いて指間部における分泌因子のunidirectionalな流れを可視化し、そのメカニズムを分子生物学的手法を用いて解析することを目的としている。平成23年度は発光顕微鏡を用いてルシフェラーゼ遺伝子を肢芽全体に発現させた時に、基質であるルシフェリンを投与後どちらに基質が拡散するのかを調査した。その結果、指が出来る自脚領域においてAERの直下には後側から前側にかけての一方向の流れがあることが可視化できた。さらに指間部におけるシリアの形成をレトロウィルスを用いて変異型IFT52を導入して阻害した場合、指骨が形成不全になることが分かった。次に、発光システム以外の方法でも同様の結果が得られるかどうか調べる為に、分泌型のアルカリホスファターゼ、及び分泌型のEGFPをトランスポゾンを用いて長期的に肢芽の細胞群に発現させるコンストラクトを作成した。24年度は構築したベクターを肢芽に遺伝子導入し、指間部における分泌因子の流れについてさらに詳細に解析を行って行きたい。一方、指が出来る場所はどのように決まっているのか?また指の本数は何によって制御されているのか?を調べる為にBMPシグナルに応答する配列を用いた発光イメージングシステムを構築した。これと同時に将来の自脚領域でどの場所に前軟骨凝集塊が形成されるのかを調べる為にOPTスキャナーを用いて3次元で軟骨パターン形成を詳細に解析する予定であったが、東日本大震災の影響により実験機器の利用が中断されたこともあり、これについては本年度は予定通りに解析を行えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響により発生過程における形態変化を3次元でマクロで解析出来るOPTスキャナーの利用が中断された。このためこの部分において23年度は予定通りの実験が行えなかった。 PFRの機能解析や、発光顕微鏡を用いた指間部における分泌因子の流れの解析は予定通りに進んでいる。以上の様な研究実施結果であることからOPTスキャナーによる解析が本年度は進まず、次年度に持ち越すため達成度を(3)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、指間部における分泌因子の流れの解析については、予定通り分泌型アルカリホスファターゼとEGFPを指間部に発現させて、流れを観察する。この結果が発光顕微鏡のデータと同じく指間部においてあらゆる分泌因子が後側から前側に流れていることを示す結果であれば、信頼度が増す。またシリアの形成を阻害した時に流れがどうなるのかも解析する。このことで、何故分泌因子が一方向に流れるのかという現象の分子の実体が明らかに出来ると考えられる。現在分泌因子の流れの解析とともに発生学的にそれを指示するデータも得られつつある。それは指間部を切り取って指原器が発生するステージで指原器を遠近軸に沿って2つに裂き、そこに後側の指間部を移植した。その結果、分けられた指原器の前側のみが移植した指間部由来の指として個性が再決定された。この結果は指間部において分泌因子は後側から前側にかけて一方向に作用しているため、分けられた前側の指原器のみが後側の指間部の位置価を得て個性を変化させたのだと言える。このような解析時にも移植した指間部片に分泌型のアルカリホスファターゼやEGFPを導入し、指の個性が変化する時にどのように指間部内で分泌因子が流れているのか、作用しているのかを調べる。 23年度に解析出来なかった軟骨パターン形成の3次元解析については下で述べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は東日本大震災の影響によりOPTスキャナーの解析をすることができなかったため、平成24年度ではこの部分についての研究内容、及び研究経費について1年遅れで研究を実施する。本研究計画では指原器が発生するニワトリ胚後肢St.25-27における軟骨パターン染色を行い、OPTスキャナーでどの領域が一番最初に前軟骨凝集塊を形成するのかを3次元で解析を行う。OPTスキャナーを用いた解析を行うことで、通常の骨染色からは明らかに出来ない背腹軸の情報、また座標軸の情報も含めた軟骨のパターン形成の動的な解析ができることが考えられる。得られたデータはこれまでの解析で得られた軟骨凝集塊形成に関わるSox9, HoxA13, HoxD13の遺伝子の発現パターンと比較し、どのように遺伝子発現のプロファイルが軟骨凝集塊の形成過程で変化していくのか時空間的な変化から凝集に必須のシグナルを明らかにする。
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Research Products
(3 results)