2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23770259
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
豊岡 やよい 基礎生物学研究所, 初期発生研究部門, 助教 (20360597)
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Keywords | 細胞分化 |
Research Abstract |
哺乳類の胚発生においては、胚を構成する細胞は当初は全て全能性を持ち、胚体と胚体外組織全ての細胞種を生み出すことが可能である。胎生3日目の着床前胚において最初の細胞分化が起こり、将来胎盤を形成する細胞系譜である栄養外胚葉(Trophectoderm; TE)、および胚体を形成する未分化細胞集団である内部細胞塊(Inner Cell Mass; ICM)の2種の細胞が出現する。現在の初期胚研究の分野では、個々の細胞が細胞接着機構により自らのポジション(外か内か)を認識する機構が働き、外側の細胞はTEに、内側の細胞はICMに分化するという説が主流であるが、この過程において外側から内側に移動する細胞がいることが観察されており、そのような細胞の移動と、細胞が自らのポジションを認識する機構があるという説の折り合いは未だついていない。 我々は初期胚におけるtrophoblast / ICMの運命決定の際の個々の細胞のポジションと細胞分化の関連性を調べる目的で、TEの分化マーカー遺伝子である転写因子Cdx2の発現をGFPの蛍光によりレポートすることのできるマウスを作製し観察を行った。Cdx2-GFPマウスの胚をライブイメージングにより観察した結果、外側から内側への細胞の移動は16細胞期~32細胞期前後に観察することができ、それらの細胞は外側に位置する時期には他の外側の細胞と同レベルのGFP(=Cdx2)を発現していた。内側へと移動した後は、GFPの蛍光は減衰していき、後期胚盤胞期には他の内側の細胞と見分けが付かないレベルとなった。これらの観察から、着床前胚においては当初全ての外側の細胞でCdx2が発現するが、外側→内側へと移動した細胞ではCdx2の発現は抑制されることが明らかとなった。現在これらの観察結果に加えて、外側から内側に移動しICMの一部となった細胞の、その後の細胞運命についても現在解析を行っている。
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