2013 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光標識法を用いた光合成ウミウシ体内における植物由来オルガネラの動態解析
Project/Area Number |
23770276
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
松尾 充啓 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (70415298)
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Keywords | 盗葉緑体 / 光合成ウミウシ / ハネモ / コノハミドリガイ / 形質転換 / 蛍光標識オルガネラ / 多核緑藻類 |
Research Abstract |
近海に生息する光合成ウミウシは餌である海藻の細胞質を吸い取り、その葉緑体を自らの細胞質に取り込んで光合成を行う。この現象はkleptoplasty(盗葉緑体現象)と呼ばれ、動物が光合成を行う稀有な例として知られるが、そのメカニズムはよく分かっていない。本研究は光合成ウミウシの餌である多核緑藻類ハネモ(Bryopsis plumosa)のオルガネラ(核、葉緑体、ミトコンドリア)を蛍光標識して、それらが光合成ウミウシのコノハミドリガイ(Elysia ornata)に摂取された後、ウミウシ体内でどのような挙動を示すのかをリアルタイムで観察する実験系の開発を目的にしている。本研究では研究実施計画に従って平成23年度に、各オルガネラ蛍光標識コンストラクトによるハネモの形質転換体の作成が行われ、平成24年度において、分子生物学的手法によるハネモオルガネラ蛍光標識効率の改良が行なわれた。最終年度(平成25年度)においては、顕微鏡観察による細胞学的解析が進められ、形質転換ハネモをコノハミドリガイに摂取させる実験により、ウミウシ体内における海藻由来の蛍光標識オルガネラの動画を撮影することに成功した。また取り込まれた蛍光標識オルガネラを定量的に動態解析する上で、ハネモオルガネラの蛍光標識効率をさらにあげる実験系の改良が必要であることも明らかになった。本研究は、世界で初めて多核緑藻類の形質転換系の開発を行い、蛍光標識法を用いたウミウシ体内での海藻由来オルガネラのモニタリング系を世界に先駆け構築した。これらの実験系は、ウミウシの盗葉緑体現象の研究だけでなく、これまで形質転換が困難であった大型藻類や多核細胞の研究に応用可能であると考えられる。現在、これら研究成果の論文発表の準備を進めている。
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Research Products
(3 results)