2014 Fiscal Year Annual Research Report
シャジクモ藻類ヒメミカヅキモから探る植物の発生進化の分子基盤
Project/Area Number |
23770277
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
阿部 淳 中央大学, 公私立大学の部局等, 助教 (10424764)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ヒメミカヅキモ / シャジクモ藻類 / 転写因子 / 発生進化 / 性決定 / 有性生殖 / 多細胞化 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑色植物において、「有性生殖」や「多細胞体制」などの発生進化上重要なイベントはシャジクモ藻類(Charophyta)からコケ植物への進化段階で起きたが、どのような分子基盤の多様化がこれらの発生プロセスに働いたのかは不明である。なかでも、植物の多様性創生をもたらした重要なステップである「有性生殖機構」の獲得はクレブソルミディウム藻綱から接合藻綱への進化段階で起きたと考えられている。このような発生プロセスの大きな変化は、マスター遺伝子となる転写因子の多様化とその下流で働く遺伝子群のネットワークの新たな確立によってなされたと考えられる。そのため、本研究では単細胞接合藻ヒメミカヅキモの転写制御因子に着目してきた。その中で、ヒメミカヅキモが有する2種類の接合型(+型/-型)のうち、片方の接合型細胞(-型)のゲノムのみに存在する転写制御因子(CpMinus1)を見いだしていた。形質転換によりCpMinus1遺伝子を+型細胞で強制発現させた株では、多くの細胞で-型細胞に特徴的な現象である「単独でのプロトプラスト放出」が確認され、かつ一部の細胞は自家接合能力を有していたことから、ヒメミカヅキモの有性生殖関連遺伝子の発現を統合する性決定遺伝子の候補であると考えられた。 本年度は、CpMinus1の進化的な位置づけについて考察するために、クラミドモナスなどの緑藻類と陸上植物を含めた相同遺伝子の系統解析を行なった。さらに、ヒメミカヅキモの有性生殖過程を特徴付けている2種類の性フェロモン遺伝子Cp19ksuとCpPI、および受容体型タンパク質をコードするCpRLK1、CpRLP1遺伝子について野生型と形質転換株での発現量をリアルタイムPCRを用いて比較し、CpMinus1の下流で働く遺伝子群のネットワークについて検討を行った。
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