2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロンイメージング技術を用いた果菜類の光合成産物動態の日変化の解析
Project/Area Number |
23780030
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
菊地 郁 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (30360530)
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Keywords | 光合成 / 転流 / ナス / トマト / 日変化 / PETIS |
Research Abstract |
本研究はPETISを用いて、トマトとナスの光合成産物動態の日変化を明らかにすることにより、高生産性に資する知見を得ることを目的とした。 昼(13h)/夜(11h)温度を28/18℃に設定し、明期開始から5, 30, 180, 360, 420, 600および780分後に11CO2を葉に施与し、合成された光合成産物が果実へ移行する速度および量を測定した。5および30分後では11CO2の固定量が低く、その結果他の時間帯に比べて移行速度や量が低下する事が明らかになった。180, 360, 420および600分後では固定量に差は無く、速度や量に時間帯による差は見られなかった。一方、780後の測定はちょうど明期開始13時間後にあたり、11CO2施与直後に暗期に移行する。780分後の測定では、固定量は180分後以降と同程度の固定量であったにも関わらず、その後暗黒環境下で測定した光合成産物の移行速度は大きく低下し、単位時間あたりの移行量も減少する事が明らかになった。 これまで、①光合成速度がある値以上の場合に、光合成速度と葉からの光合成産物の輸出速度との間に正の相関がある、②日中よりも夜間のほうが光合成産物の移行率が高まる、などの知見が報告されている。①については、明期開始直後の固定量が低い状態では移行量や速度も低くなったことから既知の知見を裏付けるものとなった。一方、夜間の転流量に関しては、暗黒環境下で顕著に低下したことから、既知の知見とと矛盾する結果となった。転流速度は葉で合成される糖による浸透圧によって調節されていると考えられ、本実験で行った明期48時間後と暗期48時間後の転流速度の顕著な違いからも推察される。そのため、明期以外にも炭素固定を促進する光量や、植物種による葉への糖(またはデンプン)の蓄積量(プール容量)の違いもも大きく関与すると考えられ、今後も検討が必要である。
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Research Products
(1 results)