2012 Fiscal Year Research-status Report
メロンの単為結果性の遺伝学的解析と育種的利用に関する研究
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23780034
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
吉岡 洋輔 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所 野菜育種・ゲノム研究領域, 研究員 (50462528)
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Keywords | メロン / 単為結果 / SSR / 連鎖解析 |
Research Abstract |
メロン単為結果性の遺伝学的解析と育種的利用に関する知見・技術を得ることを目的に、本年度は単為結果性の表現型データに基づく遺伝解析と、遺伝解析用集団に適用可能なDNAマーカーの選定とF2集団のジェノタイピングに着手した。具体的には、(1)単為結果性系統と非単為結果性の'アールスフェボリット春系3号'とのF1はほとんど単為結果せず、F2集団では単為結果性と非単為結果性個体が54:40に分離し、期待分離比9:7に高い確率で当てはまったことから、単為結果性は2つの劣性遺伝子により支配されていると推定された。ただし、単為結果した40個体の中で、単為結果性親系統と同程度の単為結果率の個体は少なく、単為結果率や単為結果果実の着果節位は大きくばらついた。単為結果性系統の片側ダイアレル分析の結果、単為結果率や単為結果果実の平均重量などの形質はいずれも広義および狭義の遺伝率が高く、平均優性度が1以下であったことから、不完全優性の形質であることが明らかになった。また、単為結果率と単為結果果実の平均重量は非常に強い負の相関関係にあり、単為結果率の優性遺伝子は結果率を高くする方向へ、平均重量の優性遺伝子は重量を低くする方向に作用することが分かった。以上の結果から、本研究で見出した単為結果性系統を素材として、幅広い作型で単為結果するメロンF1品種の育成が可能であり、特に比較的低節位で安定的に単為結果するF1品種を育成するためには、両親系統ともに劣性の単為結果性遺伝子をもつことが必要であると考えられた。(2)野菜茶業研究所が過去に開発したものに加え、ウリ科植物ゲノム研究国際コンソーシアムのデータベースに登録されている既存のSSRマーカーの中から450個を選定し、ポストラベル法により、F2集団の両親系統を含む複数のメロン品種・系統で多型が得られるマーカーを選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の計画の内、(1)単為結果性の評価と表現型データに基づく遺伝解析については、普通栽培と抑制栽培において、着実に進められたこと、(2)DNAマーカーの選定・開発とF2集団のジェノタイピングでは、連鎖解析等の解析に十分な数のSSRマーカーを選定できたことから、本課題の現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の計画の通り、平成24年度以降は(1)表現型データのみを用いた単為結果性の遺伝解析等の結果を論文として公表するとともに、(2)連鎖解析のための解析集団のジェノタイピングと連鎖解析、(3)単為結果性系統の選抜実験に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおりに使用する。なお、次年度使用額359245円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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Research Products
(1 results)