2012 Fiscal Year Annual Research Report
疫病菌耐性ジャガイモの創出を目指したナス科植物の疫病菌抵抗性因子の探索と機能解析
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23780041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹本 大吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30456587)
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Keywords | 病害抵抗性誘導 / ジャガイモ疫病菌 / ベンサミアナタバコ / ファイトアレキシン |
Research Abstract |
本研究ではベンサミアナタバコの防御応答時に誘導される遺伝子をランダムにサイレンシングした株の作出を行い、ジャガイモ疫病菌抵抗性の低下する株の選抜を行っている。今年度は、これまでに病原菌抵抗性因子として報告のない 機能未知の分泌タンパク質SAR8.2mをコードする遺伝子の機能解析を行った。SAR8.2mは約7 kDaの分泌タンパク質をコードしており、SAR8.2mサイレンシング株では、防御応答の活性化の遅延が認められたことから、この分泌タンパク質が、病原菌に直接攻撃を受けた細胞が近隣細胞へシグナルを伝えるためのシグナルペプチドとして機能している可能性が示された。SAR8.2サイレンシング株に疫病菌を接種すると接種部位をこえて疫病菌が全身的に蔓延する一方で、灰色カビ病菌やウリ類炭疽病菌に対する抵抗性は対照株と同等であった。この結果から, SAR8.2遺伝子が疫病菌抵抗性特異的に働いていることが示唆された。ベンサミアナタバコゲノムを探索したところ、5つのSAR8.2相同遺伝子が見いだされた。ゲノムから見いだした SAR8.2a, b, c, dを同時にサイレンシングした株においてもジャガイモ疫病菌の抵抗性低下が認められたことから、全てのSAR8.2遺伝子が病害抵抗性に機能していることが示された。大腸菌に発現させたSAR8.2mタンパク質は疫病菌に対して抗菌活性を示さなかったが、ベンサミアナタバコ葉へ処理するとファイトアレキシン生成酵素遺伝子であるEASおよびEAHの発現を誘導した。またSAR8.2m由来の25アミノ酸からなるペプチドが抵抗性応答誘導活性を示した。これらの結果より、SAR8.2タンパク質は疫病菌感染時に内生エリシターとして機能し、病原菌の全身的蔓延を抑制する働きがあることが示唆された。
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Research Products
(11 results)