2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23780058
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
二橋 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (50549889)
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Keywords | トンボ / 体色変化 / 体色多型 / 色素 / 構造色 |
Research Abstract |
トンボは主に視覚でお互いを認識するため、翅色や体色に著しい多様性が見られる。トンボの成虫における色彩変化や色彩多型については、生態学的、行動学的な視点から多くの研究が行われてきたが、具体的な色素や体色に関わる分子機構については、全く不明であった。平成24年度に、アカトンボの体色変化は、色素の還元反応によって生じることをPNAS誌で報告した。これは、動物の体色変化に関わる新規なメカニズムと考えられたが、還元反応に関わる分子機構に関しては不明であった。平成25年度は、RNAseq解析により、3種類のアカトンボ(ショウジョウトンボ、アキアカネ、ナツアカネ)の未成熟および成熟オス、メスの腹部皮膚で発現する遺伝子を網羅的に比較した。その結果、ショウジョウトンボにおいて、色素の還元酵素および結合蛋白質の候補遺伝子を得ることに成功した。興味深いことに、アキアカネ・ナツアカネでは、ショウジョウトンボとは別の遺伝子が還元反応に関わっている可能性が示唆された。また、薄茶色から水色へと体色変化するシオカラトンボに関しても、体色変化する際の遺伝子発現をRNAseqで解析した結果、体色変化に関わる複数の候補遺伝子が得られた。以上のように、従来ほとんど解明されていなかったトンボの体色変化の分子基盤の解明の糸口をつかむことができた。成果の一部については誌上発表を行い、国際学会の招待講演を含め、国内外の複数の学会で発表を行った。
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Research Products
(10 results)