2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポリリン酸蓄積変異株の復帰変異メカニズム解明-リン回収微生物の創成にむけて-
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23780083
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
廣田 隆一 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (90452614)
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Keywords | ポリリン酸 / PhoU / リン酸レギュロン |
Research Abstract |
環境におけるリン濃縮にはポリリン酸蓄積菌が大きく貢献している。申請者らはバクテリアのポリリン酸蓄積メカニズムを解明してきた過程で、驚異的なポリリン酸蓄積を示す変異株の作製に成功した。リンは現在枯渇することが懸念されている資源であるが、この変異株作製技術はリン資源問題に対処するためのリサイクル技術へ応用できる可能性がある。本研究では、この技術を実際の応用段階にさらに近づけるため、欠点である変異株の不安定性の原因を分子レベルで解明した。ポリリン酸蓄積変異株作製の原理は、バクテリアのリン獲得に関わる遺伝子群から構成されるリン酸レギュロンの制御因子であるPhoUに変異が導入された株を単離することである。リン酸レギュロンの支配下にはアルカリホスファターゼ(AP)が存在するため、PhoU変異株はAP活性を指標に選別することが可能である。しかし、ほとんどのPhoU変異株は安定性が悪く、培養を繰り返すとポリリン酸を蓄積しない復帰変異株を生じた。その原因を調べた結果、リン酸トランスポーターPstもしくはリン酸レギュロンの転写因子PhoBの遺伝子の変異がポリリン酸蓄積能力喪失の原因であることが明らかになった。一方、復帰変異株の合成培地中でのポリリン酸蓄積を調べた結果、PhoU破壊株の半分ほどの蓄積量ではあるが、安定してポリリン酸を蓄積する復帰変異株が約5%の頻度で存在する事が分かった。この株のリン酸レギュロンの活性化レベルを調べたところ、PhoU破壊株の1/2~1/3に低下していることが分かった。このことから、完全なリン酸レギュロンの脱抑制によるストレスがPhoU変異株の不安定性の原因であり、この脱抑制レベルを低下させれば、安定性が増加することが分かった。すなわち、AP活性が中程度の変異株を中心にスクリーニングを行うことで、安定性の良いポリリン酸蓄積株を取得できることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)