2013 Fiscal Year Annual Research Report
リパーゼ超誘導制御機構の解明と高界面活性作用蛋白質の機能解析
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23780090
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
赤沼 元気 中央大学, 理工学部, 助教 (30580063)
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Keywords | Lipase / PHB / Stearyl alcohol / Ralstonia |
Research Abstract |
昨年度までにRalstonia sp. NT80株において、感染に関与するタンパク質の分泌量がステアリルアルコールによって増加することを見出していた。そこで今年度は、これらのタンパク質をコードする遺伝子の転写量をモニターし、転写レベルでの発現誘導が起きていることを確認した。これを受け、多くのバクテリアが感染時に構築するバイオフィルム形成量を観察したところ、ステアリルアルコールの培地への添加による有意なバイオフィルム形成量の増加が観察された。このような感染に関わる機構の誘導はeliA破壊株では観察されなかった。近縁にあたるBurkholderiaやRalstoniaでは植物に感染する種が存在することから、NT80株が植物に感染する可能性も考えられる。植物根のワックスにはステアリルアルコールなどの高級アルコールが含まれているため、それらを感知するための機能の一部をEliAが担っている可能性もある。このような結果からもEliAがステアリルアルコールの細胞への認識や取り込みに関与していることが考えられる。実際、培養上清中のステアリルアルコール量をGC/MSで定量したところ、野生株では培養時間の経過とともにステアリルアルコールの減少が観察された一方で、eliA破壊株ではステアリルアルコールの乳化は認められたものの、量的な変化は観察されなかった。 その一方で、透過型電子顕微鏡の観察によりステアリルアルコールの培地への添加は微生物が生産するポリエステルであるPHBの合成も誘導することを見出した。また、野生株では培養時間の経過とともにPHB生産量の向上が観察されたが、eliA破壊株ではPHB生産は全く観察されなかった。しかしPHB合成遺伝子の転写誘導は観察されなかったことから、ステアリルアルコールの代謝によってアセチルCoAが蓄積し、これがPHB生産を誘導したと考えられる。
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