2012 Fiscal Year Research-status Report
腸管から吸収されたβ-グルカンの分解と腸管免疫系への作用
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23780131
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
日野 真吾 静岡大学, 農学部, 助教 (70547025)
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Keywords | β-グルカン / マクロファージ / 活性酸素 |
Research Abstract |
マクロファージによるβ-グルカン代謝への活性酸素の関与について検討を行うため、RNA干渉法を用いてβ-グルカン分解の分子機構を検討した。その結果、NADPHオキシダーゼを阻害することによりマクロファージによるβ-グルカンの可溶化が阻害された。このことはNADPHオキシダーゼ阻害剤によりマクロファージによるβ-グルカンの可溶化が阻害されることと一致しており、β-グルカンの可溶化にNADPHオキシダーゼによって産生される活性酸素種が関与することを強く示唆するものであった。加えて、蛍光免疫染色法によりマクロファージに貪食されたβ-グルカン粒子の周囲にNADPHオキシダーゼが局在することもこの結果をサポートするものであった。 また、β-グルカンによる活性化がすでに報告されている転写因子であるNFkBのレポーター遺伝子としてルシフェラーゼを導入したマクロファージ細胞株を作成し、クローン化した。作製したNFkBレポーターアッセイ用細胞を用いて、β-グルカン酸加水分解物のNFkB活性化能を測定した結果、β-グルカンの鎖長に比例してNFkBが活性化されることが明らかとなった。マクロファージからのサイトカイン発現・分泌についても同様の鎖長依存性が観察された。 加えて、腸管から取り込まれマクロファージによって可溶化されたβ-グルカンの体内動態を明らかにするため血中に存在するβ-グルカンを検出する方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった体内へ吸収後のβ-グルカンの代謝への活性酸素の関与について明らかになってきている。また、マクロファージによって再放出される可溶性β-グルカンの免疫賦活能との関係性についても順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
活性酸素処理β-グルカンおよびβ-グルカン酸加水分解物の腸上皮細胞への作用についてヒト腸上皮様細胞であるCaco-2細胞を半透膜上で単層培養し、β-グルカン分解物添加時の電気抵抗値および蛍光標識デキストランの透過量を指標にタイトジャンクションへの影響を解析する。また、ヒト腸杯細胞株であるHT-29MTX細胞を用いてムチン分泌を指標に評価を行う。 また、単層培養用のチャンバーを利用し、半透膜上部に腸上皮細胞株を、下部にマクロファージ細胞株を共培養することにより、擬似的に腸管組織の環境を作り、その条件下で腸上皮細胞の頂端側(腸上皮細胞培養側)、基底膜側(マクロファージ培養側)からβ-グルカンおよびその分解物で刺激し、マクロファージのサイトカイン産生能および腸上皮細胞のタイトジャンクションの機能、ムチンの産生能について遺伝子発現または蛋白レベルでの評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養器具、遺伝子解析用試薬等の消耗品として主に使用する。
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Research Products
(10 results)