2011 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋萎縮を予防する食事性フラボノイドの作用機構解明
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23780136
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
向井 理恵 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90547978)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | フラボノイド / 筋萎縮 / 骨格筋 / ケルセチン |
Research Abstract |
今年度は動物実験を用いて、ケルセチンの効果を評価するための実験系を構築することを第一目的とした。骨格筋萎縮に関わるユビキチンリガーゼ群の発現や、シグナル伝達経路のリン酸化などが、坐骨神経切除後のどのタイミングで変動するかの基礎的なデータを得た。これに対し、ケルセチンの摂取はAktのリン酸化を向上させる可能性が示唆される結果を得た。Aktは骨格筋の合成時にリン酸化されることが知られているため、ケルセチンが骨格筋の分解に抵抗するためにこの経路の活性化が寄与する可能性が示唆された。骨格筋萎縮に関わるホルモンの変動についても明らかにすることを当初の計画とした。実験を遂行したが、ケルセチンによる影響を見出すことができなかった。上記のように、骨格筋内のAktのリン酸化がケルセチンによって上昇したため、ケルセチンあるいはその代謝物が骨格筋へ到達・蓄積したことが予測された。そこで、骨格筋からケルセチンとその代謝物を抽出し、高速液体クロマトグラフィーによって、蓄積量の定量を試みた。これまでに動物の下肢骨格筋での蓄積を分析した報告が無いため、分離条件を決定し、実験を行った。その結果、ケルセチンの代謝物が骨格筋に蓄積することが分かった。また、骨格筋の萎縮が進んだ場合に、より蓄積量が高い傾向が得られた。このことから、食餌性ケルセチンは標的組織である骨格筋に蓄積することで廃用性筋萎縮抑制効果を発揮する可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目標のうち、モデル動物実験を用いて評価に適した実験条件の設定を行う、ついては達成できた。骨格筋の維持に関わるホルモン量の測定は、結果がネガティブであったが実施は達成した。骨格筋でのケルセチンについて、その存在を定量する項目についても達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は順調に推移している。したがって、今後の推進は当初の計画通りの予定である。具体的には、ケルセチン摂取時の血清中に、骨格筋萎縮を抑制する因子が存在するか培養実験を行う、また骨格筋以外の臓器を介した萎縮抑制のメカニズムが存在しうるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、入荷予定であった細胞培養用の物品(納入価格10万円前後)が、資材不足の影響で納期が未定となった。そのため、当該物品を購入するための費用を来年度(24年度)へ繰り越した。入手可能となった段階で、購入する予定である。
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Research Products
(7 results)