2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23780155
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 晴恵 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60462272)
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Keywords | 三宅島 / 種子散布 / 鳥類 / 外来種 / 遺伝マーカー |
Research Abstract |
2000年の噴火によってその森林の70%近くが破壊された三宅島において、火山ガスに対する耐性が強く噴火の高被害地域においても繁殖活動を行っている植物の存在及び種子散布に関わる動物は、その森林生態系の回復にとって重要な役割を果たすと考えられる。このため本研究では、噴火後の植生回復の鍵となる種子散布系に注目し、噴火による被害程度の異なる地域において主要な散布者となっている鳥類相の把握及び散布される種子(糞内種子)の評価を行った。 初年度は、噴火の被害程度の異なる地点において、鳥類相の密度調査と糞の採取を行い、その結果、高被害地において採取された糞内から最も多く出現する果実種子はヒサカキであった。このため24年度は、ヒサカキを対象に、被害程度の異なる地点に0.3haの8調査地を設定し、プロット内すべての成熟木について調査地間の遺伝的構造を比較した。遺伝マーカーは多型のあったSSRマーカー4座を用いた。その結果、Heは0.750(伊々谷)から0.589(坪田)、平均0.681と比較的高い値であり、標高及び被害程度との相関は見られなかった。最終年度は、散布された糞内のヒサカキ種子の遺伝的多様性を評価した。その結果、高被害地(南戸林道)の鳥類の糞4個内の種子(計9個)のHeの平均は0.198、中被害地(伊々谷)の糞12個内の種子(計21個)のHeの平均は0.289、低被害地(坪田) の糞13個内の種子(計29個)のHeの平均は0.213であり、散布された種子の遺伝的多様性に差は中被害地で比較的高い値だったものの、統計的な差は見られなかった。
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