2013 Fiscal Year Annual Research Report
フラッシュフラッド発生危険渓流の抽出に向けた発生機構の解明
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23780162
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮田 秀介 京都大学, 防災研究所, 助教 (80573378)
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Keywords | 鉄砲水 / 降雨の時空間分布 / 山岳流域 / 降雨-流出モデル / 土石流 |
Research Abstract |
河川における急激な水位上昇であるフラッシュフラッド(鉄砲水)は人的被害につながることが多いにもかかわらず,発生予測が難しくハード・ソフト両面の対策が確立していない。本年度は,現地観測および流出解析によりフラッシュフラッドの現象把握と発生に寄与する要因を解明し,フラッシュフラッド危険度指標の提案を行った。さらに,ここで構築したモデルを土砂濃度の高い急激な出水である土石流発生イベントに適用した。対象流域は神通川水系金木戸川の源流域であり,流域面積が約60km2,比高差が約1700mの非常に急峻な山岳流域である。現地観測は渓流の水位観測,インターバルカメラによる河川状況把握および雨量観測を行い,Cバンドレーダのデータを用いて降雨の空間分布についても検討した。いずれの降雨イベントにおいても,降雨初期段階での急激な水位の上昇が観測され,対象流域は斜面・河川地形,土壌特性などの場の条件により,降雨に伴う急激な水位上昇が発生していると考えられる。短時間集中型の降雨イベントでは,降雨が集中した支川の合流点下流において特に急激な水位上昇が観測された。短時間集中型イベントに山地流域に適した降雨―流出モデルを適用した。本モデルは分布型流出モデルであり,斜面の物理特性や降雨の空間分布を組み込むことができる。シミュレーション結果より,急激な水位上昇は,標高2500m以上の土層の薄い領域からの早い流出と降雨の集中の2つの要因によることが分かった。上流域の様子を知ることができない河川利用者の避難に資するフラッシュフラッド危険度指標を予測水位およびその到達時間より求める手法を提案した。また,本研究で構築した降雨-流出モデルを鹿児島県桜島において発生した土石流事例に適用し,流出過程から表面流発生領域の広さが土石流発生と強く関連することを明らかにした。
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Research Products
(11 results)