2011 Fiscal Year Research-status Report
土壌環境が異なる熱帯林における種レベルの栄養塩再吸収特性の評価
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23780175
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
宮本 和樹 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (60353877)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 熱帯ヒース林 / 貧栄養 / ポドゾル / 栄養塩 / ボルネオ |
Research Abstract |
本研究は、ボルネオ島の様々な土壌環境に成立する異なる森林タイプの主要構成樹種を対象に、葉の栄養塩再吸収特性に着目することで、養分利用環境の異なる森林における優占樹種の適応戦略を明らかにすることを目的としている。樹冠部の生葉・落葉直前の葉のサンプリングを行うため、対象樹種および対象木の選定を行い、サンプリングを開始した。今後、異なる時期での葉のサンプリングと化学分析を行い、栄養塩再吸収特性を明らかにしていく予定である。また、貧栄養条件下に成立する熱帯ヒース林に設置した固定試験地における定期毎木調査の結果、Hopea pentanervia(フタバガキ科)は、Dacrydium pectinatum(マキ科)、Shorea venulosa(フタバガキ科)、Tristaniopsis sp.(フトモモ科)といった他のヒース林優占種と比べて、胸高直径の成長速度が低い傾向を示した。これは同じ直径サイズ(10-20cm)で比較した場合に顕著であり、直径成長が有意に低いことが示された。これまでの研究で、Hopea pentanerviaは非構造性炭水化物(NSC)濃度が高く、熱帯ヒース林の他の優占種と比べて萌芽能力に優れていることが示されており、本種の低い直径成長速度は、貧栄養環境において高い萌芽能力との間の資源をめぐるトレードオフを反映していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リタートラップによる落葉の定期的な回収作業は、試験的な設置と回収を行うにとどまっているものの、熱帯ヒース林における調査対象種および対象木の選定を終え、林冠部の生葉と落葉直前の葉のサンプリングを開始した。以上の状況から、概ね当初計画どおりに研究を進めていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
リタートラップの設置を本格的に進め、定期的な落葉の回収作業を行う。また、主要な調査対象である熱帯ヒース林のほか、近隣の混交フタバガキ林においても葉のサンプリングを開始し、森林タイプ間の栄養塩利用特性の比較を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年間2~3回の現地調査(1回の調査は2-3週間程度の現地滞在)を実施するための旅費に大部分を使用する予定である。次年度への研究費繰越は、今年度の現地調査の日数が当初予定よりも若干少なかったことなどによる。また、現地の調査に必要となる交換用のリタートラップ作成のための資材等を随時購入する予定である。
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