2011 Fiscal Year Research-status Report
魚類ミオシン重鎖遺伝子の進化を探る-無顎類から肉鰭類まで-
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23780214
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
池田 大介 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (00466806)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ミオシン重鎖 / ゲノム / 分子進化 / 発生進化 / ヤツメウナギ |
Research Abstract |
1.カワヤツメ速筋型ミオシン重鎖遺伝子 (MYH) クラスターの全塩基配列を決定した。合計約2800クローンをアセンブリングしたところ、MYH2上流からMYH1の第41エクソンまで、106kbの塩基配列を決定した。カワヤツメ速筋型MYHのエクソン-イントロン構造は、報告されている真骨魚類速筋型MYHおよび6種類のヒト速筋型MYHのうち、MYH3およびMYH8と同一であった。近年バージョンアップしたウミヤツメゲノムデータベースを用いた解析により、ヤツメウナギMYHクラスターに隣接する遺伝子がヒトと同じくGAS7であることがわかった。以上の結果より、脊椎動物のごく初期段階においてすでにMYHクラスターが存在し、同クラスターが原生脊椎動物MYHクラスターの起源出会ったことが示唆された。2.GFPレポーター遺伝子を用いた解析により、ヤツメウナギ速筋型MYHプロモーターがゼブラフィッシュ速筋で正しく認識されることがわかった。ここで、ヤツメウナギ-ゼブラフィッシュ間の方がゼブラフィッシュ-マウス間よりも系統的に離れていることから、マウスにおいてもヤツメウナギ速筋型MYHプロモーターが認識されることが予想された。そこで、カワヤツメMYHの上流域を結合したルシフェラーゼ遺伝子ベクターを構築し、マウス筋芽細胞C2C12にトランスフェクションした。筋芽細胞から筋管細胞への分化誘導後、細胞内ルシフェラーゼ活性を測定した。対照として用いたマウスMYH1の上流域約3kbを挿入したコンストラクトでは、筋管細胞への分化誘導に伴い細胞内ルシフェラーゼ活性が約70倍上昇したが、カワヤツメMYH1およびMYH2の上流域約3kbを挿入したコンストラクトでは活性上昇はみられなかった。以上の結果より、速筋型MYHの転写調節機構の一部は無顎類と真骨魚類間で保存されているが、無顎類と四足類間では異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の所属学部が被災したことにより、研究スペースおよび機器の不足だけでなく、学部移転等当初予定していなかった研究以外の活動に時間を取る必要が生じたため。また、当初計画では釜石キャビア株式会社からチョウザメを入手する予定であったが、同社が被災、解散し、サンプル入手が困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ゾウギンザメゲノムデータベースを用いた解析を早急に行う。また、肉鰭類としてハイギョの使用を計画していたが、最近シーラカンスのゲノムが解読されたことを受け、可能ならば同データを使用した解析につき検討する。また、プロモーター解析についてはマウス細胞だけでなく、ゼブラフィッシュの株化細胞を用いることも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者の所属学部が被災したことにより、当初予定していなかった研究以外の活動に時間を取る必要が生じたため、研究活動に支障をきたし、結果繰越金が生じた。本年9月からは新たな研究スペースを得ることが可能となったため、繰越金と合わせた研究費を以下の計画に基づいて使用する。1. ハイギョおよびチョウザメ筋組織につき、次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析を検討し、受託費に使用する。2. 株化細胞を用いたプロモーター解析をさらに進め、同実験に用いる物品費等に使用する。3. ゾウギンザメMYHクラスターの決定につき検討する。すでにシンガポールで構築されているゾウギンザメBACライブラリーの活用を検討し、同実験に用いる物品費等に使用する。
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Research Products
(2 results)