2012 Fiscal Year Annual Research Report
魚類ミオシン重鎖遺伝子の進化を探る-無顎類から肉鰭類まで-
Project/Area Number |
23780214
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
池田 大介 北里大学, 水産学部, 講師 (00466806)
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Keywords | ミオシン重鎖 / ゲノム / 分子進化 / 発生進化 / ヤツメウナギ |
Research Abstract |
1. ゼブラフィッシュ筋分化制御因子(MRF)を強制発現させたヒトおよびゼブラフィッシュ由来の培養細胞を用いて、カワヤツメミオシン重鎖遺伝子(MYH)プロモーターの機能を調べた。MRF4、Myf5、MyoDおよびmyogeninの発現ベクターを、カワヤツメMYHの上流域を結合したルシフェラーゼ遺伝子コンストラクトと共に、ヒトHEK293細胞およびゼブラフィッシュZF4細胞に導入した。HEK293細胞において、カワヤツメMYHコンストラクトの細胞内ルシフェラーゼ活性は、ゼブラフィッシュMRF発現区および非発現区間で差がみられなかった。ZF4細胞を用いて同様の解析を行ったところ、Myf5およびMyoD発現区で明確な活性上昇がみられた。以上より、真骨魚類のMRFは無顎類のMYHプロモーター領域を認識して結合するが示唆されたが、この結合は哺乳類の培養細胞では転写には至らないことが示された。 2. 真骨魚類MYHプロモーターの哺乳類筋細胞内における挙動を調べた。ゼブラフィッシュMYHコンストラクトをマウス筋芽細胞C2C12に導入した。ゼブラフィッシュMYHコンストラクトは、マウスMYHコンストラクトと同様に、C2C12の筋管細胞への分化誘導に伴い細胞内ルシフェラーゼ活性が上昇した。この結果より、真骨魚類と哺乳類の筋分化制御機構は保存されていることが示唆された。 3. ゲノムデータベース解析より、シーラカンスゲノム中に数種類の速筋型MYHと思われる配列が存在することがわかった。このうち、ある領域には速筋型MYHの3'上流域にSCO1が存在しており、哺乳類のMYH領域とシンテニーがあった。同MYHを詳細に解析し、分子系統樹解析を行ったところ、同MYHはヒトMYH3のオルソログであることが示唆された。以上の結果より、肉鰭類と四足動物の分岐以前にMYH3が既に存在していたことが予想された。
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Research Products
(2 results)