2012 Fiscal Year Research-status Report
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23780248
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
弓削 こずえ 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70341287)
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Keywords | 生体電位 / 土壌水分 / 土壌物理性 / 水ストレス / 時系列解析 |
Research Abstract |
水ストレス耐性の強い作物(トマト)と弱い作物(ナス)をワグネルポットで栽培し,生育初期から終期を通して生体電位を測定した.それぞれの作物個体は複数用意し,灌水のタイミングを土壌水分状態に応じて数パターン設定した.これによって,それぞれの作物個体が水分過多,水分適正,水分不足状態に対して示す反応を生体電位を測定することによって抽出した.水分環境以外の外的環境の変化の影響を除去するため,作物の栽培は人工気象器内で行い,土壌水分状態以外の栽培環境(気温,湿度および日照条件)は一定とした.ポット内の土壌水分状態は土壌水分計を用いて連続測定した.生体電位の生データを用いてウェーブレット解析を行い,土壌水分状態の変化や水ストレスの度合いに対する生体電位反応の変動傾向を抽出した.その結果,土壌水分状態や生育ステージの変化に応じて,同一種類の作物であっても,生体電位の周波数帯が異なることが明らかとなった.また,作物の種類によって,生体電位の変動傾向が異なることも解明できた.さらには,実験で得られたデータを用いて,土壌水分動態と蒸散量を予測するモデルを構築し,モデルの妥当性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,複数の作物の生育初期および終期の生体電位を測定することができた.また,種類の異なる作物を様々な土壌水分状態で栽培し,水分状態や生育ステージに応じた生体電位反応の違いも時系列解析によって抽出することができた.また,作物の種類によって,生体電位の変動特性に違いがあることも明らかにすることができた.作物は異なる水分状態で生育したが,それぞれの条件下における土壌水分動態と蒸散速度を予測するモデルの構築を行うことができた.今年度の研究で得られた成果は,学術論文としてまとめるとともに,国内外の学会で発表した.さらには,海外の植物生理学および土壌物理学の研究者と生体電位測定およびデータ解析手法について打ち合わせを行い,今後の実験やモデリングについて有益な知見を得た.来年度はさらに実験を行ってデータの蓄積を図り,生体電位の予測モデルの構築を目指したい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,引き続き栽培実験を行ってデータの蓄積を図りたい.今年度は,実測値を用いて土壌水分状態および作物の水ストレス状態を予測するモデルを構築し,モデルの妥当性を検証することができた.今後は,この予測結果をパラメータとして,生体電位の変動を予測するモデルを構築することを目指す.既往の研究により,非線形理論によって植物の大気浄化に関する生体電位を予測することが可能であると示されており,本研究でもこれを導入してモデルを構築する予定である.その他にもロジスティック・モデルなどによる予測モデルの確立の可能性も検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)