2011 Fiscal Year Research-status Report
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23780307
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
松本 高太郎 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90455709)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エゾリス / ノミ / リケッチア |
Research Abstract |
北海道十勝地方において、シャーマントラップによりエゾリスの捕獲を試みた。また交通事故により帯広畜産大学に搬送されたエゾリスからも、サンプルを収集した(事故死していたものも含む)。罠により捕獲したエゾリスから血液および体表のノミを、また搬送されたエゾリスからは体表のノミを採取し、可能であれば心臓からの採血、脾臓の採取を行った。 罠によりのべ11匹のエゾリスを捕獲し、血液サンプルを8検体、ノミを50匹採取した。また、帯広畜産大学に搬送されたエゾリス4匹より、血液4検体、ノミ31匹を採取した。 血液12検体からDNAを抽出し、リケッチア属特異的nested-PCRにてリケッチア属細菌の検出を試みたが、全て陰性であった。 採取したノミ81検体のうち64検体について、光学顕微鏡を用いて形態学的特徴から種の同定を試みた。ノミの種は、Monopsyllus indages indagesが大部分を占めていた。また、47匹のノミについて、DNA抽出を行った後、リケッチア属特異的nested-PCRにてリケッチア属細菌の検出を試みたところ、18匹が陽性を示した(18/47、38.3%)。このうち7検体をランダムに選んで配列決定を行ったところ、321bpの配列が得られ、7検体全て同じ配列を示した。BLASTサーチにより類似した配列を検索したところ、韓国で検出されたRickettsia felisのgltA遺伝子配列に99.4%一致した(317/319)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
振興局への許可の申請(鳥獣の捕獲、および河川周囲の使用許可)に時間がかかり、エゾリスの捕獲開始時期が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度と同様にエゾリスの捕獲を行い、体表の寄生虫の採取、採血を行っていく。 PCRにてリケッチア属細菌が検出された検体については、gltA遺伝子の他に、rpoB遺伝子、16SrRNA遺伝子の配列決定を行い、検出されたリケッチア種の系統学的位置を決定する。同時にリケッチアを保有していたノミについても形態学的、および18SrRNA遺伝子配列決定により種を同定し、リケッチアのベクターとなるノミの種を明らかにする。 また、ノミから検出されるリケッチア属細菌について、Vero細胞、L929細胞およびXTC細胞を用いて分離を試みる。また、リケッチア属細菌陽性であったエゾリスの全血を上記の培養細胞に接種し、リケッチア属細菌の分離を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、リケッチア属細菌の検出・分離、遺伝子の配列決定のための、消耗品費および外部業者への外注に用いる。また、リケッチア属細菌の分離を行う際に、帯広畜産大学内のP2施設を使用する必要があり、その際の施設使用費を予定している。 また、研究成果を日本獣医学会に発表するための旅費を予定している。
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