2012 Fiscal Year Annual Research Report
犬組織球肉腫の新規迅速診断法の開発と予後因子測定の臨床応用
Project/Area Number |
23780316
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 哲 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50396305)
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Keywords | 腫瘍 / 犬 / 組織球肉腫 / survivin / 表面抗原 |
Research Abstract |
犬の組織球肉腫は、樹状細胞由来であることが近年明らかにされた、極めて悪性の腫瘍である。本腫瘍罹患犬は一般状態の低下や発生部位などから組織採材が困難な場合がある。また、免疫組織学的診断なしでは判断が難しいことも多い。以上のような背景から、本研究では定量的PCRを用いた客観的で簡便かつ迅速な診断法を樹立することを目的とした。 組織球肉腫における各表面抗原(CD11b, CD11c, CD86およびMHC classII)発現量の解析により、本腫瘍診断の有用性を前向きに評価した。組織球肉腫を疑いの犬24例を対象に本法の診断精度を調べた結果、その正診率は91.7%であった。本法は微量検体で迅速に実施できる有用性の高い補助的診断法であることが示唆された。この成果は米国獣医内科学雑誌に投稿し、現在修正稿審査待ちである。 また、実際に本法を臨床例、特に大きな組織サンプルが得にくく、診断が難しいとされる肺の組織球肉腫において適用し、生前診断と剖検時の検査所見を5例で比較検討した結果、全例で病理組織学的検査よりも正確な診断を得ることができた。 また、本腫瘍の予後因子としてアポトーシス抑制因子のひとつであるSurvivinが臨床組織検体に過剰発現していたため、組織球肉腫の細胞株の各Survivin発現量に対して、それぞれの細胞増殖率、抗がん剤感受性を比較し、その相関性を評価した。その結果、Survivin発現量の高い細胞株は増殖能が高く、抗がん剤感受性が低かった。また、犬組織球肉腫30例の予後(生存期間、治療反応期間)と各Survivin発現量を比較し、その予後因子としての有用性を評価したところ、Survivin発現量の高い症例は生存期間が短く、化学療法が奏功しにくいことが判明した。これらの結果からSurvivinは組織球肉腫の予後に反映している可能性が強く疑われた。
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Research Products
(4 results)