2011 Fiscal Year Research-status Report
イヌ乳腺腫瘍原因遺伝子BRCA2を利用した乳腺腫瘍発症リスク診断法の確立
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23780326
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉川 泰永 北里大学, 獣医学部, 助教 (00552043)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イヌ / 乳腺腫瘍 / BRCA2 / 変異 |
Research Abstract |
イヌ乳腺腫瘍原因遺伝子である癌抑制遺伝子Breast Cancer early onset 2 (BRCA2)の変異は乳腺腫瘍発症と関係すると考えられている。そこでBRCA2の変異を検出することにより乳腺腫瘍のリスク診断が出来るのではないかと考えた。このリスク診断法を確立するためには、腫瘍発症と関係する変異を見いだす必要があるので、今年度は以下の実験を行うことで乳腺腫瘍発症と関わる変異を同定することを試みた。1)イヌ乳腺腫瘍からDNAを抽出し、変異解析を実施しようと考えているが、比較すべきイヌBRCA2のコンセンサス配列が未決定であった。そこで、腫瘍を発症していない25検体のイヌを利用して、BRCA2の塩基配列を決定することでコンセンサス配列を決定した。この過程で、正常な精巣において、BRCA2 のスプライシングバリアントが存在することを発見した。しかしながら、現在の所このスプライシングバリアントの生理的な機能は不明である。2)約50検体の乳腺腫瘍組織のBRCA2の一部分の塩基配列を決定し、1)で決定したコンセンサス配列と比較することでBRCA2の腫瘍発症と関わる変異の候補を検索した。その結果、トランケーション変異を起こす様な変異は見つけられなかったが、13種類のミスセンス変異を発見した。また、この解析の過程で乳腺腫瘍においても1)で見つかった精巣におけるスプライシングバリアントとは異なる新規スプライシングバリアントを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イヌBRAC2の腫瘍関連変異を利用した乳腺腫瘍リスク診断法を開発するために、今年度は変異解析を行った。この結果、腫瘍組織から変異を見つけることができ、その内の数種類は既存のドメイン上に存在していた。今後これらの変異を持つBRCA2の機能解析を行うことで、BRCA2の機能に影響する変異を同定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、イヌBRCA2に新規変異を乳腺腫瘍組織より発見したので、今年度はこれらの変異がイヌBRCA2の機能に及ぼす影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度も、PCRを始めとした分子生物学的手法や細胞培養を行うので、研究費のほとんどを消耗品費に当てる。また、これまでの成果を発表し、情報収集するために獣医学科で発表する予定にしているので、旅費も申請する予定である。
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