2012 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌に特異的なガラクトフラノース糖鎖の生合成に関与する遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
23780350
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡 拓二 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (50510690)
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Keywords | 糸状菌 / 糖鎖 / 糖転移酵素 / 細胞壁 / ガラクトフラノース |
Research Abstract |
アスペルギルス属糸状菌は、麹菌(Aspergillus oryzae)、酵素生産菌(A. niger )、日和見病原菌(A. fumigatus) およびカビ毒産生菌(A. flavas )などが含まれ、人類の健康と安全に密接に関わっている真核微生物である。糸状菌には、ガラクトフラノース(Galf)という珍しい糖が含まれている糖鎖があり、それらには、GalfがO-結合型糖鎖および N-結合型糖鎖の非還元末端側に結合したものとGalfのβ1,5-ポリマー(ガラクトフラナン: GF)として存在しているものとがある。しかし、これらGalf糖鎖の生合成に関わる遺伝子は明らかになっていない。そこで、本研究では、肺アスペルギルス症を引き起こす病原菌として知られている糸状菌(A. fumigatus)のGalf転移酵素遺伝子の同定及び機能解析を試みた。生物情報により、16個のガラクトフラノース転移酵素をコードする可能性がある遺伝子を選抜し、全ての遺伝子破壊株を構築した。次に、構築した遺伝子破壊株菌糸体よりガラクトマンノプロテインを抽出し、抗- Galf 抗体を用いたウェスタンブロット解析によりGalf糖鎖欠損株のスクリーニングを行った。その結果、1つの遺伝子破壊株 (AfgfsA) でシグナルの消失が認められた。さらに、3xFLAGタグを染色体上のgfsA遺伝子のC-末端側に導入した株を構築し、FLAG-アガロースを用いて、GfsAタンパク質を精製した。精製したGfsAタンパク質と糖供与体としてUDP-Galfを、受容基質としてpNP-β-Galf を用いて反応させたところ、 pNP-β-Galf にGalf 残基が付加された反応産物が得られた。このことから、GfsAが真核生物初の Galf 転移酵素であることが明らかになった。
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