2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790031
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
濱本 博三 名城大学, 農学部, 准教授 (40365896)
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Keywords | 高分子 / 酵素触媒反応 / リパーゼ / イオン液体 / 有機合成 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、イオン性高分子の特性に着目した新しい酵素触媒反応システムの設計を行い、酵素反応の有用性を活かした有機反応法を開発することである。平成24年度の主要な研究内容は、(1)各種イオン性高分子を活用する酵素触媒反応システムの開発、(2)酵素触媒反応をモデルとした機能性高分子触媒反応系の設計研究の実施である。なお、化学触媒と酵素触媒のハイブリッドの設計により反応系の高度化を行う計画であったが、(2)の実施によりより高度な反応システムの構築が可能になり研究目的の達成に近づくことが研究過程において判明したため(2)を優先した。以下にその成果概要を示す (1)前年度の研究成果に基づいて、各種アクリルアミド系イオン性高分子を用いた反応システムの設計を行った。その結果、直鎖状高分子溶液を均一系酵素(リパーゼ)触媒反応場として活用する反応システムの構築に成功した。さらに、重合開始剤の工夫により、架橋状高分子内部にリパーゼを保持する手法を見出し、不均一系反応システムへの展開に成功した。また、2種類の高分子を用いて酵素との複合化を行い種々の酵素の利用に適用できる反応システムを導くことにも成功した。特にこれらシステムではリパーゼの触媒活性と耐久性が向上し、その回収と再利用も可能であった。 (2)酸化反応は生合成において重要な反応であり、様々な酵素触媒が酸化反応に関わるが、実際に有機合成に利用できるものは限られている。本研究では、イオン性高分子が酵素物性に近い両親媒性質を示すことに着目し、酵素触媒反応をモデルとした機能性高分子触媒反応系の設計を行った。その結果、ルテニウム種、バナジウム種、タングステン種等の触媒種の利用が有効であることを見出し、生合成型の酸化反応を効率良く行えることを明らかにした。また、本反応システムの高度化を志向したフルオラスケミストリーの適用についても検討を加えた。
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