2011 Fiscal Year Research-status Report
脂質過酸化反応における脂質ラジカルと生体内分子の反応産物の検討
Project/Area Number |
23790053
|
Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高城 徳子 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (80424068)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 脂質過酸化 |
Research Abstract |
酸化ストレスが関与する疾患において、活性酸素・ラジカルが原因なのか結果なのか明らかにされていない。酸化ストレスの指標として脂質過酸化が挙げられるが、産生される過酸化物の構造に関係なく、産生された過酸化物の総量を検討したものである。そこで、本研究では、脂質過酸化反応中間体物質と生体内物質(タンパク質、アミノ酸)との反応について検討することを目的に実験をスタートした。 酵素反応で産生される脂質過酸化物中間体と生体内物質との反応を検討するため、酵素として大豆リポキシゲナーゼを用いリノール酸との反応を行った。また、非酵素反応(化学的反応)で産生される脂質過酸化過程を検討するため、ラジカル発生剤(AMVN)を用いてリノール酸の過酸化を行った。それぞれの反応系に生体内物質として、リシンをはじめとするアミノ酸を添加して反応産物をHPLCにて検出を行った。現在までに、アミノ酸を用いた反応系において、酵素反応と非酵素反応で比較した場合に、両反応で異なる反応産物は検出されていない。検出系を再考するとともに、アミノ酸でなく、ペプチドあるいはタンパク質との反応に切り替えていく予定である。また、酵素反応において、数種のアミノ酸の添加において過酸化物の産生量が短時間では濃度依存的に抑制されるが、反応時間を延長すると、過酸化物量の生成抑制が認められなくなった。時間を延長した場合の反応時間で非酵素反応を行った場合には、過酸化物量の産生は抑制された。この点に関しては、検出法を変更してアミノ酸とリポキシゲナーゼ反応の反応時間により過酸化物の量的変化を検討していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脂質過酸化反応における、酵素反応および非酵素反応において、アミノ酸との反応産物を両反応系で特徴的に検出できていないので、やや遅れていると判断した。1つのアミノ酸や1つの方法に固執しすぎたので、柔軟に変更していきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
脂質過酸化における、酵素反応および非酵素反応での生体内反応産物の検出について引き続き検討していく予定であるが、アミノ酸だけではなく、ペプチド・タンパク質を用いて検討を行っていく。また、HPLCだけでなく場合によっては、2次元TLCを行うことで、反応産物の分離能をあげる条件に変更することを考えていく。上手く酵素反応と非酵素反応で異なった反応産物が検出されれば、遊離脂肪酸をリノール酸から他の脂肪酸に変更することや、リン脂質に変更して同様に反応を行い、脂質の違いにより反応性に変化が生じるかどうか検討を行う。さらに、今後の予定としては、最終的には動物の血清等を用いて生体内を模した系での検討を行うとともに、産生される反応産物の構造についても検討していきたい。また、アミノ酸との反応産物の検出とは直接関係ないが、酵素反応において何が起こっているのか検討する意味も含めて、酵素反応において短時間と長時間でアミノ酸との反応が異なっている可能性(脂質過酸化物の産生量が異なっている)について再度検証を行っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は、試薬については、購入済みの試薬を主に使用することが多かった。本年度は、新たなに、酵素の購入(大豆リポキシゲナーゼ、15-, 12-, 5-リポキシゲナーゼ)、HPLC用有機溶媒、脂質ハイドロパーオキサイド、遊離脂肪酸などの試薬の購入、TLC板やカラム等の消耗品の購入に利用。
|