2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790090
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
谷村 進 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90343342)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 細胞運動 / リン酸化 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
昨年度の解析により、これまでにSH3P2と結合する分子として同定したMyosin1Eが、分子シャペロンであるUNC45-Hsp90複合体と結合することを見いだした。RNAi法によってUNC45の発現を抑制した条件下、あるいはHsp90特定的阻害剤である17-AAGで処理した条件下において、Myosin1Eの発現変動を解析したところ、特に有意な変動は認められなかった。しかし、同条件下にてMyosin1Eの細胞内局在を観察したところ、Myosin1Eが細胞の移動先導端にとどまる傾向がみとめられ、そのような細胞では運動能が阻害されることが明らかとなった。すなわち、UNC45-Hsp90はMyosin1Eの細胞内局在制御を調節しており、それが細胞運動の制御に重要な役割を果たす可能性が示唆された。 また、SH3P2とhnRNP-Kの結合が極めて微弱であったことから、その結合は直接的なものではない可能性が考えられた。そこで、Myosin1E/SH3P2結合タンパク質のさらなる同定を進めた。その結果、Myosin1EのSH3ドメインにカベオラ(細胞膜上に存在するコレステロールに富んだ微小陥入構造)形成に関与するCaveolin1-Cavin複合体が結合することを見いだした。Myosin1Eの発現抑制によってCaveolin1-Cavin複合体の発現が低下すること、さらにCaveolin1の発現抑制によって細胞運動が阻害されることが明らかとなった。 本研究では、新規細胞運動調節因子であるSH3P2の機能解析を目的として、その結合タンパク質であるhnRNP-KとMyosin1Eに焦点を当てて解析を進めた。その結果、 SH3P2はhnRNP-KによるMMP-3/-9の発現調節を、またMyosin1Eによるカベオラ形成を介して細胞運動を制御する可能性を示す新たな知見を得ることができた。
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