2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光プローブを利用した、ヒストンメチル化酵素阻害剤スクリーニング系の開発
Project/Area Number |
23790127
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森 修一 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (00467630)
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Keywords | ヒストンメチル化 / SNAr反応 / 蛍光プローブ / エピジェネティクス |
Research Abstract |
ヒストンメチル化酵素(HMT)は、ヒストン蛋白質の翻訳後修飾等を介して遺伝子の転写を制御している。HMTの選択的阻害剤は、ヒストンメチル化の詳細な機能を解明するためのケミカルツールとして、また各種疾患の薬剤候補分子として有用である。HMT阻害剤開発のためにはHMT活性を評価するアッセイ系が不可欠であるが、現在用いられている手法はメチル化ヒストンを認識する抗体を用いたELISAが主流であり、より安価で簡便なHMT活性の評価法が望まれている。そこで本研究では、抗体などの蛋白質を用いずに、リジンとメチル化リジンを化学的に識別する新規手法の開発を試みた。 研究代表者らは、アミノ基の定量法として用いられているTNBS法をもとに、リジンのアミノ基とニトロベンゼン誘導体とのSNAr反応に着目した。モデル化合物としてCbz-Lys-OH(1)とその-アミノ基がモノメチル化されたCbz-Lys(Me)-OH (2)を用いて、各種求電子剤との反応速度を比較した。その結果、1と2の反応速度比は求電子剤の構造に大きな影響を受け、脱離基としてスルフォン基をもつ求電子剤の場合は1選択的に反応が進行する一方、脱離基がフッ素の場合にはN-メチル体2選択的に反応が進行することが明らかとなった。特に4-fluoro-3-nitoro-acetophenone (3)は反応選択性が高く、2との反応速度は1の約17倍であった。また本反応生成物の吸光度測定を行ったところ、反応生成物4と5はそのスペクトルが大きく異なることがわかった。化合物3に対する反応速度と反応生成物の吸光度(350 nm)の差異を利用してメチル化リジンの定量を試みた結果、1と2を任意に混合した系の両者の割合を算出することに成功した。現在はより感度の高い評価系の構築を目指し、この反応性の差異を利用した蛍光プローブの開発を行っている。
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Research Products
(3 results)