2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790185
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
阿部 真治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00403717)
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 癌抗原 / 抗体療法 / 悪性胸膜中皮腫 |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫はアスベスト由来の悪性腫瘍で今後症例数の増加が予想されているが、治療抵抗性の難治癌であり、治療成績向上のため新規治療法の早期確立が必須である。近年様々な悪性腫瘍に対して腫瘍特異的免疫療法の臨床応用が検討されており、既存の治療法では治療困難であった症例に対する著明な治療効果の報告もなされている。この腫瘍特異的免疫療法では有効な治療効果を得るうえで、標的とする癌抗原の選択が最も重要である。HM1.24(CD317)は種々の悪性腫瘍に特異的に発現する抗原性タンパク質であり、腫瘍特異的免疫療法への応用の可能性がすでに報告されている。しかし、これまでに悪性胸膜中皮腫におけるHM1.24抗原発現と腫瘍特異的免疫療法への応用については検討されていなかった。そこで特異的抗HM1.24抗体を用いて検討したところ、ヒト悪性胸膜中皮腫細胞株においてHM1.24が高頻度に発現することが明らかとなった。また、ヒト悪性胸膜中皮腫組織においてもHM1.24の 発現が検出された。さらに抗HM1.24抗体の悪性胸膜中皮腫に対する抗腫瘍効果を評価するため、抗体依存性細胞障害(ADCC)および補体依存性細胞障害活性(CDC)の測定を行った。その結果、HM1.24陽性の悪性胸膜中皮腫細胞株に対してマウス脾細胞、およびヒト末梢血単核球をエフェクター細胞として用いた際に抗HM1.24特異的抗体は有意なADCC活性を発現することが明らかとなった。同様に有意なCDC活性も誘導することが示された。また、HM1.24以外の癌抗原を標的とした新規特異的抗体によっても悪性胸膜中皮腫細胞株に対する有意な抗腫瘍効果が誘導されることを明らかとした。以上の結果より、HM1.24をはじめとする特異的癌抗原を標的とした腫瘍特異的免疫療法が悪性胸膜中皮腫に対する有効な新規治療法となる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)