2011 Fiscal Year Research-status Report
血管リモデリングにおけるHIF-1αの機能解析及び病態生理学的意義の解明
Project/Area Number |
23790298
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石澤 啓介 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60398013)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 動脈硬化 / 血管平滑筋細胞 / Hypoxia inducible factor / 血管リモデリング |
Research Abstract |
HIF-1αは低酸素刺激に応答して、血管新生、細胞分化、生体防御 (免疫) 等の生理機能を制御し、癌・慢性炎症等の病態成立に関与する転写因子である。近年、低酸素非依存的にもHIF-1αの発現が制御されている可能性が見出され、アンジオテンシンII (Ang II) 等の血管作動性物質や酸化ストレスが、HIF-1α発現を上昇させることが報告された。それ以降、血管障害におけるHIF-1αの関与が示唆されているが、いずれもin vitroでの検討であり、直接的な解明に至っていない。本研究は平滑筋特異的HIF-1α遺伝子欠損マウスを作製・使用して血管リモデリングを評価するため、HIF-1αの機能解析及び病態生理学的意義が解明することが可能となる。研究代表者らは、平滑筋細胞特異的に発現しているSM22を標的としてCre-loxPシステムにより、HIF-1α (flox/flox) マウスとSM22-Cre TG (+/+) マウスを交配し、HIF-1α (flox/flox) SM22-Cre TG (+/-) マウス (SMKO) 及びHIF-1α (wild/wild) SM22-Cre TG (+/-) マウス (CONT) を作成した。血管リモデリングはAng IIを充填した浸透圧ポンプをマウス皮下に埋め込み4週間持続投与することにより惹起した。CONTではAng II投与により大動脈のHIF-1α mRNAおよびタンパク発現上昇を認めたが、SMKOでは認めなかった。CONTではAng II投与により大動脈血管壁中膜肥厚及び中膜周囲の繊維化を認めたが、SMKOでは認めなかった。現在、HIF-1αが制御する血管リモデリング関連因子の探索について詳細な解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は平滑筋特異的HIF-1α遺伝子欠損マウスにおける血管リモデリングの解析を行うことであった。研究代表者らは平滑筋特異的HIF-1α遺伝子欠損マウスを用いた血管リモデリングモデルの作製に成功し、血管リモデリングモデルマウスにおける血管平滑筋の病態形成を解析することができた。従って、当初の計画に従っておおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、HIF-1αが制御する血管リモデリング関連因子の探索を行うため、病変組織より採取したmRNAを用いて網羅的発現解析を行うとともに、平滑筋特異的HIF-1α遺伝子欠損マウス及び野生型から大動脈を摘出し培養血管平滑筋細胞を単離してin vitro研究も併せて行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月28日-31日にかけて開催された学会に参加したため、旅費の精算が間に合わず次年度への繰り越しが生じた。従って、次年度に精算を行うこととする。さらに次年度は、研究計画を遂行とするとともに、積極的な論文・研究発表を行う。
|