2013 Fiscal Year Annual Research Report
炎症時におけるトランスロケータープロテイン遺伝子の転写調節機構に関する研究
Project/Area Number |
23790314
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田原 強 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (20419708)
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Keywords | TSPO / 炎症 / 転写 |
Research Abstract |
トランスローケータープロテイン(TSPO)は、炎症時に誘導されることが知られている。そのため、炎症の特に脳内炎症の指標として、多くの研究が行われている。しかしながらその遺伝子発現誘導機構については、不明な部分が多く残されている。前年度までの実験において、マウスおよびラットのおよそ500bp上流領域は、LPSによって引き起こされる炎症によるTSPO遺伝子の誘導メカニズムに関係しないことが示されたたことから、最終年度においては、さらに上流領域の探索、あるいはマウスやラットといったげっ歯類だけでなくヒトの遺伝子についても、炎症時のTSPO遺伝子発現誘導に関わる領域の探索を行った。 まずマウス遺伝子の上流領域ついては、およそ1500bp上流までクローニングすることができた。そこで、この1500bpの領域をラットグリオーマC6細胞に導入し、リポポリサッカライド(LPS)処理を行い炎症を誘発し、転写活性能を調べることができるルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、マウスTSPO遺伝子の上流およそ1500bpには、炎症応答性の領域を見出すことは出来なかった。一方、ヒトTSPO遺伝子のプロモーター領域のクローニングも並行して行い、およそ700bp上流までの領域を得ることに成功した。マウスTSPO遺伝子同様に、ヒトTSPO上流領域に炎症応答性転写領域が含まれるかどうか調べるために、ルシフェラーゼアッセイを行った。ヒト遺伝子の場合、マウスとは異なり、ヒトグリオーマU87細胞を用いて、検討した。実験の結果、ヒトTSPO上流領域においても、マウス同様、炎症応答性転写領域を見出すことはできなかった。 以上の結果から、マウスおよびヒトTSPO遺伝子上流領域において、マウスではおよそ1500bp、ヒトにおいてはおよそ700bo上流領域に、LPSで誘発される炎症に応答する転写調節領域はない可能性が示唆された。
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