2011 Fiscal Year Research-status Report
COMT不全とホモシステイン相互作用が演じる病理学的意義の解明
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23790381
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
金崎 啓造 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60589919)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | COMT / 2-methoxyestradiol / metabolic syndrome |
Research Abstract |
COMT不全と耐糖能異常・脂肪肝:COMT遺伝子多型は肥満・高血圧などと相関があることが知られ、メタボリック症候群様症状を呈する動物(spontaneous hypertensive rat, dahl salt sensitive rats, DBA-2J mouse)などではCOMT不全が知られる。そこでまずはじめに、高脂肪食投与下における肝COMT蛋白発現を検討し、高脂肪食投与(10週) C57BL6マウスにおいて、COMT蛋白発現が有意に抑制される事を見出した。更に高脂肪食投与下(2週)におけるCOMT不全の意義を検討するため、高脂肪食投与マウスにCOMT阻害薬(Ro41-0960)を投与したところ、耐糖能が障害され、2-ME投与により耐糖能が改善した。また高脂肪食投与時における2-MEによる耐糖能の改善は、脂肪肝の改善を伴っていた。高脂肪食投与マウスを用いて肝臓におけるCOMT蛋白発現レベルとオートファジーの関係を検討した。10週間の高脂肪食投与による肝臓COMT蛋白低下はオートファジー誘導の低下を伴っていた。また高脂肪食投与による脂肪肝-耐糖能異常は2-ME(皮下注射、10ng/day:マウスの生理的血中レベル)投与により改善が認められた。2-MEはオートファジー誘導因子としても知られ、オートファジーは肝臓での脂肪肝抑制機構と関係している可能性がある。現在内因性COMT抑制物質ホモシステインの脂肪肝発症機構における意義も視野に、検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホモシステインとCOMT抑制意義に関しては進行途中であるが、高脂肪食のみにてCOMTが顕著に抑制されることが見出され、その病態における意義もほぼ確認できたことやオートファジーとの関連も見出されたことは、予想外の進展と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
やや当初の実験計画とは方向性が異なってきたが、肝臓におけるCOMT抑制の意義は間違いないものと考えられる。現在、高脂肪食状態におけるCOMT抑制の意義を確認しつつ、COMTタンパクを正常に復する薬剤のスクリーニングも行なっている。これら実験は、メタボリック症候群のみならずCOMT不全を有する更に幅広い疾患、例えば癌や妊娠高血圧腎症のような疾病に対する治療戦略を考えていく際に、非常に重要なものであると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験にてCOMT不全を改善する化学物質をスクリーニングし、その化学物質と血中ホモシステインの濃度などとの関連も検討したい。ただし、現時点でデーターが揃ってきており、まずは現在のデーターを論文化するためのpit hallを埋めるための各種タンパク、遺伝子発現解析など、抗体購入やELISA kit購入に当てたい。
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