2012 Fiscal Year Annual Research Report
エンベロープウイルスに対する抗ウイルスペプチド薬の新戦略
Project/Area Number |
23790509
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
氏家 誠 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (50415478)
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Keywords | 抗ウイルス薬 / コロナウイルス / 細胞侵入 / Heptad-repeat / 膜融合 / コレステロール付加ペプチド |
Research Abstract |
ウイルスの膜融合蛋白質のheptad-repeat(HR)領域を標的とした抗ウイルスペプチド薬(HRP)は、ウイルスの膜融合活性を阻害する事で、ウイルス感染を抑制する。しかしながら、このHRPは、エンドソームに取り込まれにくいため、エンドサイトーシスで細胞に侵入するエンベロープウイルスにはほとんど効果がない。本研究では、HRPをエンドソーム指向性に改変することでこれらのウイルスの感染を効率よく阻止する抗ウイルス薬の開発を目的とする。 コレステロール(Chol)を結合したHRP(Chol-HRP)はCholを介して細胞膜に結合し、エンドソーム膜に取り込まれると考えられる。昨年度は、このChol-HRPを作製し、細胞表面経路又はエンドサイトーシス経路で細胞侵入するサーズ(SARS)コロナウイルス(CoV)を用いて抗ウイルス活性を評価した。この結果、Cholを付加していないHRPは細胞表面侵入経路だけにしか抗ウイルス活性を示さなかったが、Chol-HRPは細胞表面侵入経路だけでなく、エンドサイトーシス経路に対しても高い抗ウイルス活性(IC90%=1μM)を示した。本年度は、229EやNL63などの異なるヒトCoVに対しても同様の効果が得られるか評価を行った。この結果、Chol-HRPはこれらウイルスの両侵入経路に対しても、高い抗ウイルス活性を示した。これらの事からChol-HRPは、幅広いCoVの細胞表面経路及びエンドサイトーシス経路の両方に対して高い抗ウイルス活性を示す事が分かった。今後は、エンドサイトーシス経路を主な細胞侵入とするインフルエンザウイルス等を用いて、Chol-HRPが他のウイルス科に対しても抗ウイルス活性を示すか検討していきたい。
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Research Products
(6 results)