2012 Fiscal Year Annual Research Report
炎症に伴うリンパ節構造のリモデリングによる抗体産生応答制御機構の解析
Project/Area Number |
23790525
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 淳 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50581831)
|
Keywords | リンパ節 / 間質細胞ネットワーク / CD4陽性ヘルパーT細胞 / ゲノムワイド遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
(1) リンパ節間質細胞応答の解析:ウイルス感染およびアジュヴァントを用いたモデル抗原投与に対するリンパ節間質細胞、とくに細胞線維芽細胞(FRC)の応答を量的に解析し、リンパ球の数的変動に比してFRCはごく小さな数的変化しか示さないことが明らかになった。一方、刺激後4~5日後からFRCの「入れ替わり」が起き、14日目までにおよそ60%の細胞が免疫応答の過程で新たな細胞に置き換わっていたことから、FRCは炎症環境下で動的平衡状態にあることが明らかになった。 (2) 活性化FRCの表現型解析:網羅的遺伝子発現解析により質的変化の同定を試みた結果、細胞の入れ替わりと相関して各種代謝経路を担う遺伝子の発現が増加していた。さらに、クラスII MHCおよび関連遺伝子や細胞外基質構成因子の発現が刺激後に増加することも明らかになった。しかし、抗体産生細胞の支持基盤となるようなニッチ形成に関わると考えられる分子の同定には至らなかった。 (3) 活性化FRCの機能解析:FRC応答と抗体産生応答の関係をCD4 T細胞応答を切り口として解析したところ、FRCをはじめとする間質細胞で変異型クラスII MHCを発現するマウスでは、OVA特異的CD4 T細胞 の増殖が亢進し、数的優位が維持されたままメモリー細胞形成に至ることがわかった。この時、とくに濾胞ヘルパーT細胞の増加が顕著に認められることから、FRCによる獲得免疫応答制御によって抗体産生応答が間接的に制御されうる可能性が示された。 (4) 全体を通じて実施した研究成果の概要:リンパ節髄質領域のremodelingによって形成されるニッチの分子構成の同定には至らなかったものの、remodeling誘導因子の同定とリンパ節内のニッチ・足場形成を担うFRCの応答特性、またFRCによるCD4 T細胞応答の制御を介して抗体産生応答にも寄与しうる可能性を見出した。
|
Research Products
(1 results)