2011 Fiscal Year Research-status Report
抗HMGB1抗体を用いた広域スペクトル抗腫瘍薬の開発とその作用機序の解明
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23790601
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
和氣 秀徳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60570520)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 抗体医薬 / 抗腫瘍薬 / HMGB1 |
Research Abstract |
最初に、担癌マウスに投与するために必要となる抗HMGB1モノクローナル抗体の大量精製を行った。抗HMGB1モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞培養上清を回収し、MEP HyperCelレジンを用いてアフィニティークロマトグラフィーを行い、大量の抗HMGB1モノクローナル抗体を得た。次に、抗体投与方法、投与量を検討するために、Colon26細胞株担癌マウス(BALB/c)を用いて投与方法の違いによる腫瘍増殖抑制効果の有無を確認した。オスモティックポンプによる持続投与(0.5microL/hour、7日間)においては抗腫瘍効果が認められたが、静脈内投与2回/week (4週間)では抗腫瘍効果が得られず、抗体がラット由来の抗体であったためか、アナフィラキシーショックにより4週目の投与時にすべて死亡した。また、アナフィラキシーによる反応を回避するためにSCIDマウス(機能的なT細胞、B細胞が欠如しており、免疫グロブリンもほとんど産生されない)を用いて静脈内投与2回/week (4週間)も行ったが、抗腫瘍効果は得られなかった。このことより、抗HMGB1抗体の抗腫瘍効果には免疫系が関与している可能性が示唆された。以上より、投与方法、投与量に関しては、オスモティックポンプによる1週間持続投与に決定した。最後に、Colon26細胞株以外の細胞株に対して抗HMGB1抗体の抗腫瘍効果を確認した。抗HMGB1抗体はB16細胞株担癌マウス(C57BL/6)に対しては腫瘍の増殖を抑制したが、SCIDマウスを用いたA549細胞株担癌マウスにおいては、抗腫瘍効果は認められなかった。SCIDマウスを用いたアッセイは免疫系の不全が原因で抗腫瘍効果が発揮されなかったと考えられる。これらの結果から、抗体の精製法と、担癌マウスモデルの系を確立し、これより行う予定である抗体の作用機序解明に向けての準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、抗HMGB1モノクローナル抗体の投与量、投与経路の決定と抗HMGB1モノクローナル抗体の抗腫瘍効果が認められる細胞種の判別を行う計画を立てた。抗HMGB1モノクローナル抗体の投与方法に関しては、オスモティックポンプによる約1週間の持続投与で行うことを決定した。また、抗腫瘍効果が認められる細胞腫に関してはcolon26とB16細胞株に認められることがわかった。しかしながら、もう数種類さらに抗腫瘍効果がある細胞腫を選定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
抗HMGB1モノクローナル抗体の抗腫瘍効果が認められる細胞種の判別に関しては引き続き行うと共に以下の2点を新たに行う。1.腫瘍組織の免疫組織化学的解析担癌マウスに抗体投与し、28日後に腫瘍をその周囲組織と一緒に摘出する。摘出した組織を切片にし、染色を行なう。抗HMGB1モノクローナル抗体投与群と、抗KLH抗体投与群間での腫瘍部位のマクロファージ浸潤の程度や血管新生の程度またアポトーシス細胞の数に差があるかを検証する。 2.腫瘍組織発現タンパク質の解析担癌マウスに抗体投与し、28日後に腫瘍を摘出する。摘出した腫瘍組織または腫瘍周囲組織を破砕し、ウエスタンブロッティング法によりHMGB1の発現や、炎症性サイトカイン、増殖因子類の発現の増減を抗HMGB1モノクローナル抗体投与群と、抗KLH抗体投与群間で比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物(マウス)、抗体精製試薬類、細胞培養試薬、組織染色試薬、ウエスタンブロッキング試薬を購入する。
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Research Products
(3 results)