2011 Fiscal Year Research-status Report
疼痛における生体膜糖脂質の機能と鎮痛への応用のための基礎的研究
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23790647
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡辺 俊 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (50415337)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / 疼痛 / 糖鎖 / 神経科学 |
Research Abstract |
本年度は、研究代表者の所属機関変更に伴い研究環境の変化があったため、研究実施のための動物実験系の立ち上げが必要であった。そのため、疼痛試験装置などのセットアップを行った。具体的には、von Frey test、Hargreaves test 試験用の実験装置の導入と設置を行った。また、糖脂質の関与する疼痛モデルはとしては、代表者らにより、ホルマリンおよびホットプレートによる疼痛試験のみ検討が行われている。しかしながら、神経そのものの損傷により異常な疼痛が生じる神経因性疼痛や炎症後の疼痛は臨床的にも重要であるため、これらの疼痛における糖脂質の関与も検討するべきである。そこで、これらの解析のためにマウスを用いて神経因性疼痛モデルや炎症性疼痛モデル作製の検討を行った。 以上と並行し、今後のより効率のよい分子メカニズム解析のために株化細胞培養系において検討を行った。つまり、現在までに研究代表者らが明らかにしている疼痛における糖脂質の作用メカニズムとして、グルタミン酸放出経路への関与が挙げられる。そこで、本年度では動物実験以外からこの分子メカニズムの解明に向けたアプローチとして、糖脂質によりグルタミン酸濃度が調節されうる細胞培養系の検討を行った。その結果、糖脂質の一種であるガングリオシドを培養液中に投与すると、グルタミン酸の放出能が上昇することを見出した。次年度以降は、この分子メカニズムについて解析を行い、得られた結果から生体内でも同様な分子メカニズムを介しているか、阻害剤などを用いて検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究代表者の所属機関の変更に伴い、動物実験などのセットアップが必要であったが、おおむね順調に準備がすることができた。また、効率よく分子メカニズムの解析を行う系として、細胞培養系において糖脂質により細胞外グルタミン酸濃度を調節しうる系を見出し、将来のメカニズム解析のための実験系を立ち上げ、一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、本年度の準備及び研究成果を踏まえ、細胞培養系および動物個体において糖脂質がどのような分子メカニズムを介してグルタミン酸放出に対して関与しているか検討を行う。また、病的な疼痛モデルとして、神経因性疼痛モデルや炎症性疼痛モデルにおける糖脂質の効果について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、実際の疼痛実験の実施のために必要なマウス購入費や疼痛測定装置の購入、必要な試薬類の購入のために使用する。また、今年度の成果である、神経細胞培養系におけるガングリオシドによるグルタミン酸分泌促進の系を用いた分子メカニズム解明のために必要な阻害剤、プラスミド、培養用品などの購入のために使用する。その他、タンパク質解析、脂質解析、遺伝子組み換え実験、細胞機能解析のために必要な器具、試薬、酵素類、抗体等に使用する。
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