2013 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛における生体膜糖脂質の機能と鎮痛への応用のための基礎的研究
Project/Area Number |
23790647
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡辺 俊 北里大学, 薬学部, 助教 (50415337)
|
Keywords | スフィンゴ糖脂質 / 疼痛 / 糖鎖 / 神経科学 |
Research Abstract |
現在までに、ガングリオシドをマウスの足底皮下に投与すると疼痛を引き起こし、さらに低濃度のホルマリンの同部位への投与による疼痛を増強することが明らかとなっている。また、このガングリオシドによる痛覚過敏は皮下におけるグルタミン酸の細胞外濃度の上昇と、グルタミン酸受容体の活性化が重要であることが明らかとなった。しかしながら、疼痛は多様な刺激により引き起こされ、刺激の種類により関与する分子やシグナル伝達系が異なる可能性がある。そのため、ホルマリン以外の疼痛刺激として、コールドプレート、von Frey filamentの各刺激に対してガングリオシドをあらかじめ足底皮下に投与しておくとどのような効果を持つか検討を行った。その結果、コールドプレートによりマウスが疼痛反応を示す温度まで下げたところ、ガングリオシドによる疼痛行動の変化は認められなかった。一方で、von Frey filamentに対する反応性はやや向上した。そのため、ガングリオシド投与による疼痛過敏に対してはある程度の刺激特異性があることが明らかとなった。また、慢性疼痛モデルとして完全フロイントアジュバントによる炎症性疼痛モデルおよび坐骨神経部分結紮による神経障害性疼痛モデルを作製し、脊髄や坐骨神経の糖脂質組成の変化を解析中である。さらに、脊髄後根神経節(DRG)ニューロン由来の細胞株F-11細胞において、ガングリオシド投与により細胞外グルタミン酸濃度が上昇することを明らかにしたので、この細胞の分化に伴う糖脂質組成の変化を解析した。その結果、分化に伴い高級なガングリオシドと思われる糖脂質が増加した。今後はこのような糖脂質組成の変化がグルタミン酸濃度調節にどのように関与するのかを検討することを予定している。
|