2011 Fiscal Year Research-status Report
S1Pを標的とした肺線維症の病態解析と新規治療法への展開
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23790909
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
東 桃代 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (10403750)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 肺線維症 |
Research Abstract |
1.S1P受容体アゴニスト、FTY720によりBLM誘発肺線維症を悪化。BLMをosmotic pumpを用いてマウスに1週間かけて持続皮下投与することにより肺線維症モデルを作成した。S1P受容体アゴニストであるFTY720をday15から28にかけて連日腹腔内投与しday28にてマウスをsacrificeし肺切片のAschcroft scoreを用いた組織学的検討を行ったところ、FTY720投与群にて著明な肺線維化増悪が認められた。また生存率においてもFTY720投与群にて悪化が認められた。2.FTY720およびS1Pがマウス肺線維芽細胞の増殖ならびに遊走を促進。マウス肺線維芽細胞を用いたトリチウムチミジン取り込み試験にて、FTY720およびS1Pは濃度依存性に肺線維芽細胞の増殖を促進した。また同様にケモタキシスアッセイにてFTY720およびS1Pは濃度依存性に肺線維芽細胞の遊走を促進した。3.マウス肺線維芽細胞においてS1P1が高発現。マウス肺線維芽細胞におけるS1P受容体の発現をリアルタイムPCRにて検討したところ、S1P1とS1P2の発現が確認され、さらにS1P1の発現が最も顕著であった。4.FTY720併用によりBLM投与マウス肺におけるS1P発現が亢進。BLM投与マウスならびにFTY720併用BLM投与マウス肺におけるS1P受容体の発現をリアルタイムPCRにて検討したところ、FTY720併用群にてS1P1の発現が亢進していた。一方でS1P1以外のS1P受容体の発現については両群間で差はなかった。5.免疫組織学的解析にてBLM投与マウス肺ならびにIPF患者肺組織の線維化巣にS1P1の発現を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S1PアゴニストであるFTY720がBLM誘発肺線維症モデルにおける肺線維化悪化を誘発することをin vivoにて証明し、そのメカニズムの一部はFTY720ならびにS1Pの肺線維芽細胞に対する作用であることをin vitroにても証明できた。さらに肺線維化の進展においてS1PシグナルのうちS1P1受容体が重要である可能性がわかってきた。免疫抑制剤であるFTY720が肺線維化を悪化させる恐れがあり、さらにはそのメカニズムの一部を解明することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroにてsiRNAを用いてマウス肺線維芽細胞のS1P1受容体をノックダウンすることによりFTY720およびS1P刺激により誘導された増殖反応ならびに遊走反応が抑制されるか検討する。同時にin vivoにおいてもsiRNAを用いてマウスのS1P1受容体をノックダウンすることによりBLMモデルにおけるFTY720併用による肺線維化の増悪が抑制されるか検討する。さらにS1P1受容体をノックダウンしたBLM投与マウス肺切片を用いてKi-67、コラーゲン1の免疫組織染色にて線維芽細胞の増殖反応抑制の有無について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金はごくわすかであり、培養器具等の消耗品の購入に使用予定である。翌年度請求の研究費は、実験用マウスの購入ならびにFTY720、siRNA等の試薬、ケモタキシスアッセイ用チャンバー、免疫組織染色用抗体の購入にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)