2012 Fiscal Year Annual Research Report
S1Pを標的とした肺線維症の病態解析と新規治療法への展開
Project/Area Number |
23790909
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
東 桃代 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (10403750)
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Keywords | S1P / 肺線維症 / FTY720 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1リン酸(sphingosine 1-phospate:S1P)はGタンパク質共役型S1P受容体ファミリー(S1PR1-S1PR5)を介して下流にシグナルを伝達する脂質メディエターの一つである。近年、S1Pシグナルは、TGF-βの重要なco-factorとして線維化に関与する分子として注目されている。今回我々は新規免疫抑制剤であるS1P受容体アゴニスト(FTY720)が高度の線維化形成を惹起するという研究成果を得たことより肺線維症におけるS1Pの役割について検討を行った。方法は、レコンビナントS1Pの肺線維芽細胞増殖、遊走に与える影響を、3H-TdR取り込み試験およびBoyden chamber 法によるmigration assayにて検討した。またマウス肺線維症モデルは、7週齢C57BL/6マウスにBLM(ブレオマイシン)をmini-osmotic pumpにて持続皮下投与し作成した。FTY720は1mg/kg/dayをDay14-28に腹腔内投与した。またRT-PCRを用いC57BL/6マウス肺線維芽細胞株、及び線維化肺組織のS1P受容体(S1PR1-S1PR5)の発現を検討した。S1P濃度はマウス肺胞洗浄液を用いELISA法にて検討を行った。S1P受容体発現の検討は、肺線維症モデルとIPF:特発性肺線維症患者の肺組織を用い免疫染色法にて検討した。その結果、S1Pレコンビナント蛋白の刺激で、濃度依存性に細胞増殖、また遊走活性を認めた。また、マウスBLM肺線維症モデルのBALF中にはS1Pが上昇しており、マウス肺線維芽細胞株、及びBLM+FTY720投与群では、S1PR1の発現が亢進していた。以上の結果から、S1P-S1PR1シグナルが肺線維症に関与しており、その機能を制御・調節することで肺線維症の病態解明や治療に応用される可能性が示唆された
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Research Products
(1 results)