2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790950
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
谷田部 緑 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30510325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 食塩 / カルシウム / リン / 尿細管 / 再吸収 / Na+/Ca2+交換輸送体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、食塩負荷による腎のカルシウム輸送分子の発現調節について明らかにすること、および腎臓で接合管に主に発現するNa+/Ca2+交換輸送体タイプ1 (NCX1)の糸球体内圧やカルシウム・リン調節における役割を明らかにすることである。我々の実験で、正常ラットに8 週間8%の高食塩食を負荷すると、尿中カルシウム排泄は約7 倍に増加し、腎皮質でNCX1を含む遠位尿細管に存在する4 種類のカルシウム再吸収分子の発現が増加した。それに対し、近位尿細管においてCa2+およびNa+のparacellular transportを調節するtight junction proteinであるclaudin 2の発現は、食塩負荷で蛋白レベルでは減少した。近位尿細管でのCa2+再吸収はNa+と競合し、食塩負荷に応じて低下する。経口食塩負荷による腎claudin 2の減少は、近位尿細管におけるCa2+再吸収低下、さらには尿中カルシウム排泄の増加につながる可能性が示唆される。一方、食塩負荷による遠位尿細管のカルシウム輸送分子の発現増加は、近位尿細管でのカルシウム喪失を代償する可能性がある。その調節機構の一つとして、血中1,25-dihydroxyvitamin D3 濃度を測定したところ、食塩負荷群では有意に低下しており、それ以外の因子が関与する可能性が高いと考えた。接合管のNCX1は、Na+濃度変化を交換輸送により細胞内Ca2+濃度変化に置換し、klotho分泌を調節する可能性がある。遠位尿細管カルシウム輸送分子の発現変化が、接合管から分泌されるカルシウム・リン調節因子であるklothoを介する可能性につき、さらに検討中である。本研究が主題とする尿中へのカルシウム喪失は、高血圧症、骨粗しょう症、尿路結石症などの病態生理に密接に関連する。その機序解明は重要な課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年7月に出産、その前後で1年未満の産休・育休を取得したため、予定よりもやや研究の進行は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき、ラットを用いた動物実験および培養細胞を用いた実験を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に1年未満の産休・育休を取得したため、計画よりも研究の進行がやや遅れている。これに伴い、研究費の使用状況も初年度は予定より少なかった。しかし、平成23年度中に復帰、研究を再開しており、平成24年度には研究をさらに進めるため、実験動物や細胞培養、抗体などのアッセイにおいて研究費の使用が必要となる予定である。
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