2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790950
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
谷田部 緑 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30510325)
|
Keywords | 腎臓 / 尿細管 / カルシウム輸送体 / リン / 発現調節 |
Research Abstract |
食塩の摂取で尿中へのカルシウム排泄は増加する。これは、骨粗しょう症や尿路結石に関わるが、その機序は不明である。腎尿細管の各セグメントには、多彩なカルシウム輸送分子が存在する。これらの発現が食塩摂取により変化すれば、尿中へのカルシウム排泄が増加する可能性がある。そこで、正常ラットに高塩食を8週間負荷し、腎臓のカルシウム輸送体の発現を調べた。遠位尿細管のカルシウム再吸収分子(TRPV5, calbindinD28k, NCX1)は増加し、近位尿細管でカルシウム再吸収を促進するclaudin 2の蛋白発現は減少していた。Claudin 2の存在する近位尿細管は、カルシウムが最も多く再吸収される部位であり、そこでのカルシウム再吸収の減少は、遠位尿細管カルシウム再吸収機構の亢進では十分に代償されず、結果的に食塩摂取により尿中へカルシウムが喪失する可能性を示唆する。この結果は、2012年に論文発表した。 また、カルシウム輸送体の1種、Na+/Ca2+交換輸送体(NCX1)は腎で主に遠位尿細管と血管平滑筋に存在するが、腎臓における機能をin vivoでみた報告はない。そこで、片腎を摘出したラットの残腎に浸透圧ポンプでNCX1阻害薬、SEA0400(SEA)を1週間投与し、その影響を調べた。すると、カルシウム動態は不変であったが、血清リンが有意に低下した。また、片腎ラットの糸球体はhyperfiltrationを呈すると考えられるが、SEA群ではvehicle群に比べ、体血圧および血漿アルドステロン濃度が増加したにも関わらず、尿蛋白および糸球体径が減少した。これらの知見は、慢性腎臓病などで問題となるリンや尿蛋白、糸球体内圧の調節に腎臓のNCX1が関与することを示唆し、今後その機序を解明する手掛かりとなる(投稿準備中)。
|