2012 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病原因遺伝子DJー1の神経細胞保護機能の解析
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23790970
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仁木 加寿子 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50447645)
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Keywords | DJ-1 / パーキンソン病 / PARK7 / 酸化ストレス / 分泌 |
Research Abstract |
[具体的内容] 申請書に記載した計画のうち「酸化ストレス時に分泌されるDJ-1の機能解析」と「DJ-1 のプロテアーゼ機能の解析」について主に成果が得られました。 「酸化ストレス時に分泌されるDJ-1の機能解析」については、家族性パーキンソン病PARK7で報告されている変異DJ-1の代表的な変異数種と、DJ-1の活性を無くした変異体を用いて分泌を検討し、野生型DJ-1 より減少していること、酸化ストレス条件下においてDJ-1の分泌により共培養した神経細胞の細胞生存率が増加した事などを明らかとしました。これら前年度に得られた知見を元に、当該年度では、分泌されるDJ-1の量・状態(還元型・酸化型など)・機能を総合的に解析し、将来的には血液などのサンプルから生体内での酸化レベルを測る可能性に繋がると期待しています。このことはパーキンソン病を含む神経変性疾患リスクをモニターする事の可能性にも繋がり、早期発見・早期治療につながる可能性を持っており、意義深いと考えています。 「DJ-1 のプロテアーゼ機能の解析」についても、当初の計画どおり進める事ができ、現在までにDJ-1によって切断される配列の絞り込み、および基質探索において成果が得られています。これら得られた知見を元に、神経変性疾患の治療戦略の一つとして、DJ-1タンパク質を投与する事により異常タンパク質の蓄積を緩和することができれば、リスクの少ない、極めて有効な手段となり得ます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 研究計画に記載しました計画のうち2つにつきましては、[研究実績の概要]にも記載致しましたが、おおむね順調に進んでいます。 申請書に記載した計画のうち「DJ-1の神経細胞再生・修復機能の検討」については、本申請課題以外に使用するDJ-1ノックアウトマウスの使用量が予想外に増加した点と、解析に必要なマウス初代培養細胞系の改善 などを行っていたため解析がやや遅れておりましたが、それらの問題点を解消後解析に入っております。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策)「DJ-1の神経細胞再生・修復機能の検討」の解析を主に進める予定で、DJ-1 の神経細胞再生を観察するために初代神経培養細胞を作 製し、機械的もしくは薬剤により傷を作製し、神経再生を経時的に観察・測定します。 また、「酸化ストレス時に分泌されるDJ-1の機能解析」と「DJ-1 のプロテアーゼ機能の解析」につきましては、23年度、24年度の各アプロ ーチの結果を総合的に組み合わせた解析を行っています。方法としては、MPTP誘発性パーキンソン病モデルマウスをDJ-1ノックアウトマウ ス及び野生型マウス(C57BL/J)を元に作製し、分泌されるDJ-1の量・状態(還元型・酸化型など)を測定し、パーキンソン病症状を ロタロットテストなどの運動能力実験と合わせて解析しています。また、それらの実験系にDJ-1およびDJ-1ΔH9を投与すると改善されるか 等についても解析中です。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由としましては、初年度(平成23年度)にノックアウトマウスの繁殖、マウス初代培養細胞系の改善などで遅れが生じ、その後問題点は改善されましたが、その分の遅れが平成25年度に繰り越す結果となりました。 繰り越した分につきましては、該当 解析に必要なマウス及びラットの購入費等の消耗品費に使用する予定です。
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[Journal Article] Transcriptional activation of low-density lipoprotein receptor gene by DJ-1 and effect of DJ-1 on cholesterol homeostasis.2012
Author(s)
Yamaguchi S, Yamane T, Takahashi-Niki K, Kato I, Niki T, Goldberg MS, Shen J, Ishimoto K, Doi T, Iguchi-Ariga SM, Ariga H.
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 7
Pages: e38144(13頁)
DOI
Peer Reviewed
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